「アデルに賛成、少なくとも全員で行く必要はないと思うし……俺とギズー二人が残るからお前らで行って来いよ。俺の重力球とギズーの法術弾があればある程度は抑えられるだろう」

 ギズーはそれに対して意見をしなかった、見ず知らずの人間のお守をするよりかはこの戦場で暴れていた方が彼には合っているのだろう。確かに全員でまたカルナックの家に行っても仕方ないのは正論である。レイとアデルは元々カルナックの弟子であるわけで、相談もしやすいだろう。

 一方ミト達は困惑している様子だった、今日初めて会った人達にこれ以上迷惑をかけていいのだろうかと。しかし他に頼れる人間が居るわけでもない、だからこそ断り辛い部分もあるが頼りたいのは本当のところなのだろう。

「何から何まで、本当に有難う御座います。なんてお礼を言ったらいいか」
「お礼なんかいいよ、これもきっと何かの縁だと思ってさ。それに――」

 レイが不安そうに語るミトに対して笑顔を向けてそう告げようとした時、外で爆音が鳴り響いた。雷の音ではない、何かが爆発するような轟音だった。爆音がした後アジトが地震発生時みたいに大きく揺れる。部屋の中の家具は傾き倒れる。

「おいおい何だよ!」

 倒れてくる家具がファリックに向かって傾いた時、ガズルがすぐさま飛び出していた。ファリックに接触するか否かの処でガズルがそれを抑え込みぶつかることは無かった。だが揺れは未だ続いている。
 爆発音は最初の一発のみでそれ以降は聞こえてこない。家具を誰も居ないところへと放り投げてファリックとミラの体を両脇に掴んでガズルは部屋を後にする、レイもミトを抱きかかえ大きく揺れるアジトから外へ出る。残りのメンバーもそれに続いた。
 外に出た時、街のはずれに現れたのはミト達が出現した時に現れた黒い球体が空に浮かんでいる。それも先ほど見た時よりも巨大なものだった。