「馬鹿野郎、お前これがどれほどの貴重品か分かってねぇだろ! こんな骨董品俺のウィンチェスターライフルなんかより数が少ねぇんだ、見て見ろこの美しいライン、このバレル。あぁ……すげぇ、こんなに状態の良いオリジナルを見るのは初めてだ。そもそも現代におけるシフトパーソルの原型は全てこの骨董品を真似して作られたんだ。言わばご先祖様、創造主!」
「あー、わかったわかった。とりあえず落ち着け、んでそれを返してやれ」

 レイがそれを取り上げると駄々をこね始めるギズー、ガズルとアデル二人が押さえ付けてレイから引き離して拘束する。ため息をついて手に持つ二丁をファリックへと返した。

「ごめんな、アイツこういうのが好きなんだ」

 そう苦笑いをしながらファリックに伝えると、彼もまた苦笑いで返してきた。やっとの思いでギズーを押さえ付けているアデルが再び尋ねる。

「で、結局どうするんだ? 武器を持ってるってことは旅人か何かだと思うけど記憶がねぇんじゃこの先どうにもなんねぇだろ」
「そこなんだ、僕達じゃどうにもできないってことが分かったから先生に意見を伺おうと思う。だから一度帰ろうと思うんだけど良いかな?」

 レイのお人よしに三人は頭を抱えてしまう、この戦時中に見も知らずの少年少女の世話をしようというのだから困ったもんだ。だがこうなることはある程度予想はしていたのだろう。三人は仕方なさそうにその提案を飲んだ、もとよりレイが何を言っても止める気は毛頭なかったからだ。彼らのリーダーの発言には基本従う、そう決めていたからこそ。

「別にお前の意見にアレコレいうつもりは無いけど、この街はどうするんだ? 現状俺達が抜けるとなると押されるんじゃないか?」