ガズルが手に取ったのは手の平に乗る程度の小さな本だった、表紙は何かの革で作られていて中身には見た事も聞いたことも無い文字が羅列している。何ページかめくるとミトと同じ顔をしたものが写っている。アデルも興味津々でそれを覗き込むが、さっぱり分からないでいた。
「さっぱりだな、でも帝国の人間じゃないのは分かった。こんなの見た事も聞いたことも無い、ましてや似顔絵にしたって鏡を見てるような綺麗な出来栄えだ。俺の知る限りじゃこんな技術知らん」
ギズーがその小さな本を片手で閉じると再びバックパックの中へと戻す。
「ごめんなさい、私達も本当に何も覚えてないんです。名前と私達の間柄ぐらいしか……」
その言葉に四人は再び黙り込んでしまう、この少女たちの扱いを如何すればいいのか困惑していた。そんな中アデルがバックパックを手に取りレイに返そうとした時、彼等が見落としていた横の小さなポケットをアデルが発見する。返そうと伸ばした手をもう一度自分の方へ引き戻しそのポケットに手を入れる、その瞬間アデルの表情が強張った。
「ミトっつったっけ? コレは何だ?」
ポケットから取り出したのは彼等にしてみれば見覚えのあるものだった、青く光る手のひらサイズの小さな石。幻聖石である。
「分かりません、それは一体なんでしょう?」
「とぼけるのか? これはこうやって――」
アデルがその幻聖石の中身を確認するべく具現化させようとする、しかし本人でない限り中身を取り出す事の出来ない幻聖石はアデルの手の平では何も反応しない。そんな初歩的なことも忘れているのかと他の三人は呆れ顔でアデルを見る。
「アデル、別に幻聖石を隠し持ってた訳じゃないだろ。僕達が見落としていただけだ、彼女に中身を見せてもらおう」
「……」
「さっぱりだな、でも帝国の人間じゃないのは分かった。こんなの見た事も聞いたことも無い、ましてや似顔絵にしたって鏡を見てるような綺麗な出来栄えだ。俺の知る限りじゃこんな技術知らん」
ギズーがその小さな本を片手で閉じると再びバックパックの中へと戻す。
「ごめんなさい、私達も本当に何も覚えてないんです。名前と私達の間柄ぐらいしか……」
その言葉に四人は再び黙り込んでしまう、この少女たちの扱いを如何すればいいのか困惑していた。そんな中アデルがバックパックを手に取りレイに返そうとした時、彼等が見落としていた横の小さなポケットをアデルが発見する。返そうと伸ばした手をもう一度自分の方へ引き戻しそのポケットに手を入れる、その瞬間アデルの表情が強張った。
「ミトっつったっけ? コレは何だ?」
ポケットから取り出したのは彼等にしてみれば見覚えのあるものだった、青く光る手のひらサイズの小さな石。幻聖石である。
「分かりません、それは一体なんでしょう?」
「とぼけるのか? これはこうやって――」
アデルがその幻聖石の中身を確認するべく具現化させようとする、しかし本人でない限り中身を取り出す事の出来ない幻聖石はアデルの手の平では何も反応しない。そんな初歩的なことも忘れているのかと他の三人は呆れ顔でアデルを見る。
「アデル、別に幻聖石を隠し持ってた訳じゃないだろ。僕達が見落としていただけだ、彼女に中身を見せてもらおう」
「……」