ギズーとガズルもそれに賛同して頷いた、困った顔をしてレイは苦笑いを一つして足を動かした。部屋の前にくると一つノックをしてドアを開ける。中には気を失っていた女の子がベッドの上で状態だけを起こして座っているのが目に映る。その周りにミラと名乗った少年と、ツンツン頭のファリックが椅子に座ってこちらを見た。

「目が覚めたって聞いて様子を見に来ました、大丈夫ですか?」

 窓の外で雷が光り、薄暗い部屋の中を一瞬だけ照らす。彼女の表情はどこか暗くうつろな瞳をしているのが分かる。どこか悲しそうで寂しそうな、そんな表情にレイは見えた。

「ほら姉さん、この人がボク達を助けてくれたお兄さんだよ」
「……」

 ミラが少女の体を揺すってレイが入ってきたことを告げるが反応がまるでない、一点だけを見つめてボーっとしている様子だった。レイはそれに違和感を覚える。ミラとファリックは互いに名前とお互いの認識、そしてミトの事だけは覚えているようだったがこの少女、まるで生気が無い。

「ミトさんでしたね? はじめまして、僕はレイ・フォワードと言います。……あの、大丈夫ですか?」

 レイの問いかけにも全く反応が無かった、同じようにずっと一点だけを見つめているように視線も動かずただただボーっとしてるだけだった。

「ごめんなさい……まだ状況がよく理解できていなくて、貴方が私達を助けてくれたんですね?」
「えぇ、居合わせたというかキャッチしたというかなんというか。目立った外傷は然程無いと伺ってます、痛い所とかありますか?」
「いえ、大丈夫です。でもその……私記憶が――」