気を失っている少女の顔をもう一度レイが見てそう答えた、彼女もまた意識を失っているだけで外傷は特にみられない。その事を少年に伝えると安堵した様子で胸を下した、ホッとした少年はもう一度レイの顔を見て礼を言う。

「はい、僕の姉です。――あの、助けて頂いて本当に有難う御座います!」
「そうか、とりあえず怪我が無くてよかったよ。此処じゃ何だ、僕達の拠点に行こうか。そこならお医者さんも居るしゆっくり休めるだろう」

 レイがもう一度抱きかかえている女性に目線を落として提案した、彼らが一体何者でどこから来たのか、また何故空から降ってきたのか。考えれば考える程謎は深まるばかりで聞きたいことも山ほどある状況ではあった。しかし、この女性は未だに目を覚ましていない。その事を気遣ってかレイは自分たちのアジトへと一度戻ることを提案したのだ。だがそれにギズーが噛みつく。

「待てよレイ、こんなどこの馬の骨とも分からねぇ奴ら連れてくってのかよ」
「そうだよギズー、これがどんな状況かは分からないけど一度アジトに戻ろう。色々と聞きたいこともあるし何より治療が優先じゃないか?」
「……このお人よし目。おいテメェ、せめて名前ぐらい名乗ったらどうだ?」

 レイの申し出に納得が行かないのか、はたまた見ず知らずの人間を自分たちのアジトへと案内するのを嫌ったのか不機嫌な表情で捨て吐いた、そして未だ名前を名乗らないこの少年達にイライラしていたのも確かだ。

「すみません、ボクはミラ、『ミラ・メーベ』と言います。こっちのツンツン頭は『ファリック・ベクアドルド』。それと姉の『ミト・メーベ』です、ところで……」

 赤いジャンパーの少年がそれぞれの名前を告げる、ミラは意識を取り戻してからずっとモヤモヤとしている事を告げようと口を動かし、その言葉にレイ達四人は唖然とした。

「名前は憶えているのですが……ボク達は一体何者なんでしょうか?」