崖から落ちたレイ達はそのまま勢いよく下の森へと落ちた、その先が森で運が良かったのは言うまでもない。木の枝がクッションの役割を果たし落下時の衝撃を押さえてくれていた。レイは落下時の衝撃でも抱きかかえた少女を放さずにいたが、残りのアデルとガズルは落下時に放してしまった。結果少年達は何本かの枝にぶつかり、最後には顔から地面に落下した。

「あ、やべ……」

 エルメアを固定していたベルトが枝に引っかかり宙にぶら下がっているアデルが自分の真下で首から上が地面に埋もれている少年をみて申し訳なさそうに言った。同じくガズルに抱きかかえられていた少年も赤いジャンパーの少年と同じように顔が地面に埋まっていた。足が枝と枝に挟まって動けないでいるガズルもまた宙にぶら下がる状態でプラプラと揺れている。

「何やってんだお前ら」

 そこにギズーが降りてきた、剣を崖に何度か突き刺しながら落下速度を殺しながらこちらへ降りてきた。地面に着地すると首を地面に突っ込んでいる少年二人を残念なものを見る目で見つめる。そしてため息をついてガズルを挟んでいる枝をシフトパーソルで撃ち抜いた。
 さかさまで落下するガズルだったが途中の枝を掴んで体制を立て直し、そして着地する。
 そして埋まっている二人の足をそれぞれ掴んで勢いよく地面から引っこ抜いた。

「お? お前ら大丈夫か?」

 引っこ抜かれた二人はそれぞれ落下した衝撃からか意識を取り戻していた、だが目が覚めた時真っ暗な空間と酸素の無い世界で苦しんでいたのだろう。意識はあるもののぼんやりとしている感じだった。

「あ……ありがとう、ございます」