木の上で監視を続けていたガズルが二人に聞こえる様に言った、下に居る二人はそれぞれ東の空を見上げてみる。すると発達した積乱雲がゆっくりとこちらへ近づいてくるのが見える。雷雨になるかも知れないとガズルが言うと二人はすぐさま了解した。
「そしたらレイにも伝えてくるわ、何かあったらすぐに照明弾飛ばしてくれ」
木にもたれ掛かっていたアデルがゆっくりと体を起こすと帽子を再び被りなおした、右手の飲料をグイッと飲み干すとそれを空に投げた。右手人差し指を鳴らし摩擦熱を利用して炎を作り出し、それを投げた飲料の容器に向けて放出する。薄い木材でできたそれは勢いよく燃えると跡形もなくなってしまった。
山頂付近、アデル達が居た場所と違って周囲は開けていて眼下にメリアタウンの綺麗な街並みが広がっている。周りに木々はなく少し歩けば崖になっていた。そこに一つの墓石が立っている、墓石の前には少し盛り上がった土があって今では草が少しだけ生えていた。
その墓石の前に胡坐をかいて空を見上げている少年が居た、レイだ。さわさわと風が彼の体を撫でるように吹いていて髪の毛はそれに揺られている。どこか遠くを見ているように一点だけをぼうっと見つめていた。時折墓石に目線を落としてはまた空を見上げるを繰り返していた。
墓の主はメルリス、神苑の瑠璃で繰り広げられた死闘で失った仲間の一人である。
彼女はレイを庇って亡くなってしまった、もう半年も前の事だ。それ以降レイの心にぽっかりと穴が開いたような気分が続いている。一度帝国との戦闘になれば一騎当千の力を誇る彼だが中身はまだ子供なのである、時折涙を流して彼女の事を思う、そんなことをこの半年繰り返していた。
「いい天気だねメル」
「そしたらレイにも伝えてくるわ、何かあったらすぐに照明弾飛ばしてくれ」
木にもたれ掛かっていたアデルがゆっくりと体を起こすと帽子を再び被りなおした、右手の飲料をグイッと飲み干すとそれを空に投げた。右手人差し指を鳴らし摩擦熱を利用して炎を作り出し、それを投げた飲料の容器に向けて放出する。薄い木材でできたそれは勢いよく燃えると跡形もなくなってしまった。
山頂付近、アデル達が居た場所と違って周囲は開けていて眼下にメリアタウンの綺麗な街並みが広がっている。周りに木々はなく少し歩けば崖になっていた。そこに一つの墓石が立っている、墓石の前には少し盛り上がった土があって今では草が少しだけ生えていた。
その墓石の前に胡坐をかいて空を見上げている少年が居た、レイだ。さわさわと風が彼の体を撫でるように吹いていて髪の毛はそれに揺られている。どこか遠くを見ているように一点だけをぼうっと見つめていた。時折墓石に目線を落としてはまた空を見上げるを繰り返していた。
墓の主はメルリス、神苑の瑠璃で繰り広げられた死闘で失った仲間の一人である。
彼女はレイを庇って亡くなってしまった、もう半年も前の事だ。それ以降レイの心にぽっかりと穴が開いたような気分が続いている。一度帝国との戦闘になれば一騎当千の力を誇る彼だが中身はまだ子供なのである、時折涙を流して彼女の事を思う、そんなことをこの半年繰り返していた。
「いい天気だねメル」