同じようにあの洞窟にも以前より強力な結界を施してきたそうだ、それは僕がやったらしいんだけどさっぱり覚えていない。その後僕の記憶があるのは僕とメルが最初に出会った場所に彼女を埋葬した所から始まる。
 小さな山でそこから見る街の景色は綺麗だった。そこで僕とメルは出会った、その場所にメルを亡骸を埋めて小さな墓を作って僕達は帰ってきた。
 アリス姉さんが先生の姿を見て凄く泣いていたのをよく覚えている、それ以上に僕達はアリス姉さんに告げる事に胸を痛めていた。メルが死んだことを告げるとプリムラはその場に泣き崩れていたっけ、僕だって泣きたかった。同じようにして泣きたかったんだ。

 今この場に居る誰よりも僕がメルの事を思っていたんだ、

 好きだった。

 あの子が好きだった。

 それでも僕は泣くのを我慢した、ここで泣いちゃメルに笑われる気がして。

 その日の夜、アリス姉さんが一通の手紙を僕に渡してくれた。それはメルが僕に宛てた手紙だった。
 その手紙には彼女が何者で、何で僕の前に現れたのか、そしてこれを読んでいるときはきっとメル自身がもうこの世に居ないことを予言するかのように綴られていた。

 僕は受け止めることが出来なかった、こんなの……まともに受け止めたら狂ってしまう! もうメルの事で泣かないと決めていたはずなのに涙が溢れた、止まらなかった。あふれだす涙を拭っても拭ってもまた目から溢れてくるんだ、その日僕はメルの部屋で泣き続けた。