そこでシトラの首が胴体と切り離された。

 水平に払われた霊剣は綺麗にシトラの首を跳ねたのだ。
 その様子を後ろで見ていた四人は唖然としていた、あれほど自分たちが苦戦した相手をまるで赤ん坊をあやすかのように軽々と倒したメルをその目で見ていた。
 メルの回復法術で体の傷はほとんど治っていたが体内のダメージだけは僅かに残っている。それぞれが壁にもたれ掛かったり肩に寄りかかったりとしながら目の前で起きた事を見ていた四人の元へとメルがゆっくりと振り返り歩いていく。

 首を跳ねられたシトラの体はゆっくりと後ろに倒れてそのまま溶岩の海の中へと落ちていった。

「みんな大丈夫?」

 此方に歩きながらメルがそう言った、その表情はいつもの優しいメルの顔だった。レイは思わず声を出そうとしたがなんて言葉をメルに掛ければいいのか分からないでいた。それを見たメルは首を傾げて優しく問う。

「レイ君? 大丈夫?」
「メル……君は一体」

 その問いにメルは首を傾げて微笑んだ、多分答えを聞くことは出来ないだろう。

「メルリス、何でテメェに霊剣が扱える!」

 レイの肩に捕まっていたギズーが問う、レイ以外はメルが霊剣を振るっている姿を見るのは初めてだ。当然の問いだった、レイ以外の誰かが扱おうとすると霊剣は途端に重くなり持てなくなるあの性質がメルには発動していなかったからだ。しかしそれに対してアデルが答える。

「何でメルが持てるかは分からないけど、一部の限られた人間は持てるみたいだぞギズー。俺も一度だけレイ以外がその剣を振るっているのを見てる。父親っぽかったけどな」
「父親? それじゃぁメルリスはもしかしてレイの兄妹なのか?」

 それに対してレイとメル二人が首を横に振る、互いに生まれた場所、親は異なることを二人は知っている。第一それはギズーが一番良く分かっているはずだ。