「君達は知っているかい? ここが紅の大地という別名を持っていることを」

 レイヴンが唐突に語りだした、レイ達はそれぞれの獲物を取り出して構えている。ここへ来る途中カルナックも同じようなことを言っていたが真相までは語られていなかった。足元を見ても格別赤くもなんともない。もしや溶岩の明かりでそう見えるのだろうかと思ったがそれも違うようだ。

「折角だ、この洞窟の本質を見せてあげよう」

 すると神苑の瑠璃は見る見るうちに小さくなりレイヴンの手に収まるほどの大きさにまで縮んだ。左手で受け取りそれを前に差し出すと瑠璃は一段と輝きを増した。目が眩むほどの光がその場を埋め尽くしていく、視力が回復した時彼らの足元に転がる物と鼻につく嗅いだことのある匂いがした。

「っ!」

 レイは足に何かがぶつかる感触を覚えてそれを見た、骸骨だ。無数の骸骨がそこら一面に広がっている。そして嗅いだことのある匂い、それは血の匂いだ。骸骨を埋め尽くすほどの血が大量に流れている。

「なんだこれ!」

 アデルが血だまりに埋もれた足を引き上げて骸骨の上に乗る。だがその骸骨もすぐに崩れてしまいまた血だまりへと足がはまる。十人や二十人なんて規模じゃない。何百人の骸が転がっている。

「これが紅の大地と言われる由縁よ、この宝石に見せられた人の夢の跡。それがここよ」

 今までずっと黙っていたシトラがついに口を開いた、その口調からは今まで一緒に旅をしてきたときの様なお道化た口調ではなくなっている。これがシトラの本性なのだろう。それはあのカルナックですら見抜くことが出来なかった。

「気を付けてね、そのどれかが私の仲間なのだから」

 一段と声が低くなった。

「シトラさん、何で……何でこんなことをっ!」