「うわぁ!」

 先を急ぐレイが声を出して壁に寄りかかった。カルナック達の戦闘により洞窟全体が揺れていた、階段を下りているレイ達四人もその振動を受け体のバランスを崩す。揺れが収まることは無くひどくなる一方だった。

「なんっつぅ戦いだ、こんなの人間同士の戦いじゃねぇぞ!」

 その後ろ、アデルも流石に経験した事の無いコレを異常事態だと予想する。あの時、無策に飛び掛かったはいいが相手が本気で殺しに来ていたら今頃自分はどうなっていたのか、考えるだけでも冷汗が流れる。

「剣聖と互角に戦える人間がいるなんて聞いてねぇぞ!」

 文句を言ったのはガズルだ、彼もまたこの振動で足元を掬われて転びそうになっている。初めてカルナックと出会った時の印象から先ほどの彼を同一人物と認識することに抵抗を感じていた。いつも沈着冷静なカルナックが殺意を剝き出しにし感情に任せて刃を振るう姿を見た事が無かったからだ。

「エレヴァファル・アグレメントだ、昔カルナックのオジキと一緒に四竜を討伐した仲間の一人だ。話だけは聞いたことがあったがカルナックと交流を持つ奴ってのは大体化け物ぞろいだなまったくよ!」

 一番後ろにでしりもちを付いているギズーが喚く、彼等四人は揃ってこの振動の中動くに動けずにいた。一刻も早くレイヴン達の後を追わなければならないのだがこの揺れの中階段を下れというのが無茶な話である。

「四の五の言っても仕方ない、みんな一気に下るよ」