「よう――『最強(カルナック)』!」「やぁ――『最狂(エレヴァ)』」

 エレヴァファルとカルナックの刃がぶつかり火花が散る。片や帝国随一の戦闘狂、片や世界最強の剣聖。十五年ぶりの再開はやはり闘争だった。遠い日の幼い自分を重ねて相手を互いが睨む。

「レイ君、コイツは私の客です。君達は先に行きなさい!」

 斧を弾き飛ばして斬撃を放つ、しかしいずれも全てはじき返されてしまう。その強靭な肉体はシフトパーソルの弾丸をもはじき返すだろう。

「待ちわびたぜ! この時を、この瞬間をっ!」

 エレヴァファルが咆哮する、鼓膜が破れるかと思うほど大きな声だ。それに後ろで見ていた四人は委縮する。それ以上に目の前で起きてることが信じられないでいた。あのカルナックと互角に戦える人間が帝国に残っているとは思いもよらなかったからだ。いや、もしかしたら互角以上なのかもしれないとレイは思った。咄嗟に霊剣を構えて前に出ようとしたがアデルによって静止されてしまう。思いのほかアデルはこの状況で冷静に物を見ていた。

「早く行きなさい、必ず追い付きます!」
「ずいぶん余裕じゃねぇかこの野郎!」

 二人の間に入る余裕などないとレイは悟った、まさに次元が異なる戦いである。早すぎる攻撃に防御、そして数手先を予測しフェイントを交えた攻撃。すべてをとっても彼等四人がどうこうできる相手ではない。それに恐怖を覚え足がすくむ。だがその体に鞭を打って足を動かした。

「必ずですよ、必ず追ってきてください!」