今度はガズルが叫びながら突撃する、重力爆弾を作り出すと大男目がけて叩きつける。
 だがそれに対し左手を重力爆弾へ向けて表情一つ変えずに難なく受け止められてしまった。重力爆弾が着弾した場所はクレーター上の凹みを作り大男も一緒に少しだけ沈む。

 だがダメージは全く見られない。そして伸びていた左手で飛んできたガズルをキャッチするとギズー目掛けて放り投げた。この二人もまたアデルとレイ同様に吹き飛ばされてカルナックによって受け止められる。

「こんなもんか? 大した事ねぇな」

 首を鳴らしながら窪みから出てきて巨大な斧を地面へと突き立てる。両手で指の関節を鳴らすと再び斧を持ち上げた。

「さぁって今度はどんな手段で俺を攻撃する? あ?」

 想像以上の強さだった、流石レイヴンの上官なだけはある。
 並の人間とはかけ離れたスピードとパワーを持ち合わせるこの男の存在は彼らの頭にはなかった。むしろこれほどまでの使い手が帝国にまだ残っていたことに驚いている。まさに番狂わせである。大男が指を鳴らしている間にカルナックは法術で四人を回復させる。そして立ち上がってもう一度突撃しようとするアデルの肩を叩いてカルナックが前に出る。

「君達は少し休んでいなさい、今消耗されては勝てる勝負も勝てなくなってしまいます」

 そういうと雷光剣聖結界(ライジング・インストール)を即座に発動させる。大男を睨みすぐさま抜刀の体制を取る。

「――エルメアに剣聖結界(インストール)使いで抜刀の構え?」