第二階層に五人が降り立つとその瞬間複数の発砲音が聞こえてきた。いち早く動いたのがガズルだ、右手を振り上げてその足元の地面を殴ると目の前に地面が盛り上がり発射された弾丸を防ぐ。
 アデル直伝「岩盤返し」。そこから先はまさに電光石火、回避行動をとっていたレイとアデル、ギズーの三人は動くことが出来なかったがガズルの行動を見ていたカルナックだけは即座に反応する、発砲音が聞こえた場所へと跳躍するとそこにいた帝国兵士五人を一瞬にして切り刻む。

 即座に、絶命した帝国兵を見下ろして刀に付いた血を振り払う。岩盤の影に隠れていた四人は首だけで前方を覗くとすでに作業を終えたカルナックが立っている。流石剣聖の二つ名は伊達ではないと四人は改めて感じる。
 第二階層では何度か帝国兵の襲撃にあったが何ら問題なく彼らは先を進んでいく。そして次の階層へとつながる下り階段を発見した。

「第三階層はただっぴろい部屋みたいな空間があるだけです、そこを過ぎてしまえば第四階層。最深部です」

 全速力でここまで走ってきた彼等だが流石に疲労の色が見え隠れする、途中の中継地点からずっと走りっぱなしでここまで来たのだ、疲れないはずがない。そして第三階層にはちょっとしたロジックがある。それを解除しない限り最深部の第四階層へと降りることは出来ないとカルナックが語った。それを聞いてしばしの休息を取る事にした。
 各々がその場に座り息を整えギズーが作ってきたアンプルを飲む。即効性の疲労回復剤と思ってもらえれば分かりやすいだろう、ただし物凄く苦い。作った本人ですら拒むほどの苦さを全員が一斉に飲み始める。当然の様に吐き出しそうになる味に苦悶の表情をする五人、その後すぐに五人揃ってむせ始めた。

「相変わらず苦いなこれ」