その日の正午過ぎ、彼らは封印の洞窟へと到着した。ここまでの道のりで倒した帝国兵士はおよそ五十人、多分それでも精鋭を連れてきたのであろう。エルメアが黒に近い色をしていた。エルメアの色は青から始まり緑へ、緑から紫へ、紫から黒へとその兵士の力量で変わっていく。それ以外の赤、黄色と白。これは一般兵士からの脱却を意味する。つまりはエリートだ、だが黒はまた特別な意味合いを持っている。それは精鋭である。

 洞窟とは名ばかりの大きな鋼鉄の門が彼らの目の前に立ち塞がる、見上げる程の大きさで十メートルはくだらないだろう。予想通り封印は解かれていて少しだけ開いていた。

 しかしこれ程大きい門を開けるにはどれほどの力が必要なのだろうか。力には自信があるガズルが開いている扉を力いっぱい押した。しかしビクともしない、その様子にカルナック以外の三人は驚いていた。次にカルナックが右手で扉に触れると足に力を入れた。するとどうだろう、あのガズルの力を持ってもビクともしなかった巨大な鋼鉄の扉は勢いよく開いてしまった。

 此処でガズルを擁護しておくと彼の力も並の大人以上ではある。背筋力脚力腕力共に鍛え抜かれた炭鉱夫よりはあるだろうその力。それをもってしてもビクともしない扉をカルナックは平然と開けてしまう。やはり人としてはあり得ないレベルの存在であることは間違いなかった。