カルナックが帝国兵士を殲滅した二時間後、ようやくレイ達四人は起きてきた。
 既に朝食の準備を整えているカルナックの姿を見て最初にレイが驚く、続いてアデルが驚きガズルとギズーは驚愕した。普段料理なんてした事の無いカルナックが自分達が起きるより先に出てきて朝食の支度をしているのだ。

 驚くなという方が無理がある。
 もちろんカルナック自身は彼らの為にと起きてきたわけではない。二時間前の襲撃で完全に目が覚めてしまったから仕方なく時間を潰すためにも準備をしていたのだ。だがそれは彼等四人は知る由もない。もちろん襲撃があったこともまだ告げていない。どうせすぐそこで起きた事だ、いやでも目に付くだろう。
 その時に説明すれば問題ないとカルナックは思っているようだ。

 いよいよこの日彼らは封印された洞窟へと到着するだろう、しかしカルナックは近づくにつれて警戒している。それもそのはず、早朝の襲撃があったことを考えればすでに帝国は洞窟へと到着しているだろう。封印を施しているが相手には封印法術に長けているシトラが付いている。
 時間を掛ければ術者を何十と集めれば解除できなくはないが相手はシトラだ、その道の専門でもある彼女であれば三十分と掛からず解いてしまう可能性もある。だがそれ以上に襲撃だ、この先に帝国が何人も張っているだろうと予想される。シトラからの通達でこちらを警戒している事は間違いない。

「この先に見えるあのひと際大きなドーム型の洞窟が封印の洞窟です、別名『紅の大地』」

 走りながらカルナックが通信機を通して四人に伝える、紅の大地という名前の割には通常の岩石で出来た洞窟のように見える。それが彼等四人には違和感に感じた。灰色の岩石で構成されているドーム型の洞窟、何処から見ても赤く染まっているようには見えない。