近隣の街にて馬を調達した五人、夜通し馬を走らせて封印の洞窟へと急いでいた。
 封印の洞窟はカルナックの家から馬で五日程、帝国本部から部隊を率いているという情報から徒歩と推測するに三週間は掛かる。帝国が動き出したと情報をキャッチしたのは今から二週間と数日前、ギリギリ同着かレイ達が少し遅れて到着するような日数だった。

 しかし初日に夜通し走ったお蔭で時間の短縮は出来ただろう、このままのペースで走っていくべきなのだろうがそれでは馬が疲弊しきってしまう。なので二日目の夜は野宿をして馬共々一緒に休むことになった。
 野宿と言ってもキャンプと言っても過言ではないかもしれない。カルナックの荷物の中にテントが幾つか用意されている。それと同時にこの寒い冬の時期に外で寝泊まりをすることを考えたカルナックはとっておきをカバンから取り出した。
 それは何時しか見た陽光石だ、それもかなり純度の高い陽光石で一週間は使い続けても壊れない代物である。しかし彼らはもはや驚くことはなかった、レイ達四人はもうカルナックが何を取り出しても驚くだけ疲れると知っていた。貴重品や骨董品等々様々な希少アイテムを所持するカルナックにその都度突っ込みをするのも野暮な話である。

 再び雪が舞い始める、レイ達にとって今年三回目の雪だ。帝国軍の拠点がある北部に行けば積雪量も増えたりするがここ南部で大量な降雪はあまり記憶にない。温暖な南部では年に一度雪が降れば珍しいとも言われる、今年の冬は何か特別に寒い気もする。それは五人が感じていることでもある。雪は夜通し降り続き積雪は観測史上最高を記録した。

 三日目の朝、最初にテントを出たのはレイだった。辺り一面銀世界だった昨夜から引き続き驚いたのはその積雪量だった。膝下まで積もった雪はレイの瞳には異常事態ともとれる程に見えていた。先ほども述べたがこれ程の降雪量はこの地方にしては珍しい、まして南部の平地でこれ程ともなれば北部は一体どうなっているだろうと考えてしまっていた。続いて出てきたアデルも同じように驚く、だがこの積雪が彼らの足を止める結果となってしまう。昨夜まではそれほど積もっていなかったからこそ馬で駆け抜けてくることが出来たがこれでは馬はもう走れない。ショートカットするために山を越えようとした事が裏目に出てしまった。急いでカルナックのテントに向かい外を見る様に促す、するとカルナックは表情を曇らせてしまった。