「嫌です、レイ君に牙を向けた人を私は許すことが出来ません。それに私ならシトラさんの結界を抑え込むことが出来ます、連れて行ってください!」

 しかしまだフラフラとしているその体を見て誰がうんと言えるだろうか。否、気持ちは有り難いが先ほどの事を考えるともって数秒、抑え込むことが出来たとしても直ぐにエーテルが底を付いてしまえば話にならない。

「それでも駄目だよ、シトラさんの目を見ただろう? わずかな間だけど一緒に旅をしてきた時のシトラさんとはもう別人なんだ、僕達を全員皆殺しにしようとした目だ」

 もう一度レイが優しい顔で諭す要因話した、その顔を見てメルはレイの気持ちが絶対に曲がらないと知る。あきらめたのかもう一度ソファーに横になるとカーディガンのポケットから一つの指輪を取り出してレイに渡す。

「じゃぁせめてこれを持って行って、法術を緩和することが出来る指輪……シトラさん相手ならきっと役に立つから」

 無理をしていただろう、指輪を渡すと意識を失ってしまった。完全にエーテル切れである。指輪を右手人差し指にはめると立ち上がってアリスにお願いをする。

「メルをよろしくお願いします」
「分かった、けどちゃんとみんなで帰ってくるのよ?」
「はい、必ず」

 その日、彼らは翌日を待つことなく荷物をまとめて旅立つことにした。一刻も早く帝国より先に瑠璃を確保するために彼等五人は旅立つ。