ソファーに寝かせられたメルを心配そうに見つめるレイとプリムラ。その後ろでカルナックは一度深呼吸をして事の次第を整理し始めた。

「参りましたね、シトラ君がまさか帝国側にいるとは思いもよりませんでした。てっきりフィリップ君の元で仕事をしているとばかり思っていたのですが」
「そんな事よりこれからどうするんだよおやっさん、レイヴンだけじゃなくシトラまで相手じゃ流石に分が悪くねぇかこれ」

 アデルの言うとおりだ、剣聖結界使いが二人になってしまった事により戦力は均衡もしくは彼方側が多少有利になっている。流石のカルナックと言えどレイヴンとシトラの二人が相手では分が悪い、そこにレイ達四人の力を合わせたとしてもどれほど持ちこたえられるか正直不明だ。

「私も……一緒に行きます」

 突然聞こえた声にカルナックが反応する、額に濡れたタオルを当てているメルがか細い声を上げていた。
「駄目だよメル危険すぎる、君はアリス姉さん達と一緒にここで待つんだ」
「そうですよメル君。レイ君の言う通り相手は剣聖結界使いです、危険すぎます」

 レイとカルナックが続けて説得するがメルは首を横に振って上体を起こした。