プリムラがニット帽を無造作に脱がせた、今まで彼のトレードマークだったニット帽を外されたガズルは即座に奪い返そうとするがシトラに捕まってしまう。ニッコリと笑うシトラの笑顔がいつぞやのトラウマを呼び起こし彼の体を硬直させた。すかさずアリスが両手にワセリンを塗り、ガズルの髪の毛を掻き揚げた。

「やっぱり帽子被ってるより断然こっちの方がいいよ」

 オールバックにセットされた、しかし数本だけ束ねて前に垂らしている。眼鏡に当たるか当たらないかという処だろう。四六時中ニット帽を被っている彼からすれば違和感でしかない。

「慣れねぇなぁ」

 そう言いながらも三人の元へ歩き四人そろって並んだ、一皮むけた彼らの新しい衣装が揃う。それぞれきちんとした防御性能を持ち合わせながらもカジュアルな衣装を身に纏う。アリスはそれが微笑ましくて仕方がなかった。一歩成長した彼らの姿を見て思わず涙がこぼれた。

「立派になったね君達」
「そうね、確かに立派になったわ。でも――」