カルナックが刺激したツボは首の付け根に当たる部分で急激な体力回復及び血行促進とエーテル循環を程よく回復させる効果がある、ただしその代償として死んだ方がマシと言われるぐらいの激痛を伴う。あまりの痛さにアデルは動けない体に鞭を入れてその場を逃げようとした、その結果三転倒立の姿になり激痛のあまり意識を数秒失っていた。これをレイとギズーの二人も同様に経験している。机から専用の針を取り出した時二人の脳裏にトラウマを呼び起こす。一瞬の痛みではあるがあの苦痛は耐えがたい。ガズルの視界を覆ったのには理由がある、一つ、あの痛みで当事者は顔を歪めるのだがそれが絶望的な表情をしているからだ。二つ、針を打つ瞬間のカルナックの顔を見せないため。今まで見た事の無い笑顔に変わるのだが、これがまた悪魔の微笑みに近い。唯一ガズルはカルナックの弟子ではないため自分の師匠の尊厳を守ろうとした咄嗟の行為だろう。

「さてさて、そろそろ宜しいですかなアデル」
「もう二度とごめんだ! 暫くあの痛みを忘れてたけどおかげで思い出すことが出来たぜ、一瞬走馬燈が見えたよ!」