「レジスタンスの中でも実力者だったらしいわよ、法術は苦手だけどあの珍しい武器の扱いはかなりのものだってカルナックが褒めていたからそれなりに強いんじゃないかしら。護衛で一緒に付いて来てもらってるけど並の子供じゃないことは間違いないと思うかな」

 珍しくアリスからのお墨付きが出た、実を言う所アリスはビュートの護衛無しでも普通に近隣の街へと出かけることが出来る実力者ではあった。主に法術に長け熟練度はかなり高い。元々アリスはカルナックの元にやってきた理由が弟子入りだったのだが気が付けば家事全般をこなす主婦になっていた。原因はカルナックにある。あの汚い部屋を初めてみたアリスは修行どころではないと最初に悟ってしまった、自分が寝泊まりする部屋ですらもので埋もれていて足の踏み場もなかった。

 極めつけは食事だった、カルナックは食事を作ることが大変下手である。例えを上げよう、目玉焼き一つ作るのになぜかフライパンから炎が上がり、肉を焼かせれば必ず炭化する。初めてその料理をみたシトラは別の意味で殺されると感じ取っていただろう。それからは彼女がカルナックの身の回りの世話をしながら修行という名の買い物や掃除といった家事全般をこなすようになった。もちろん元々法術の扱いにはカルナックから一目置かれていたこともあり特別何かを施すことはなかったという。では彼女の実力としてはどのようなものか、レイの法術より破壊力は高く扱いは上手い。風のエレメントを使った法術が得意でカルナックの精神寒波をも易々と潜り抜ける。レイやアデルが旅立った後はその手の実力者がカルナックへと挑戦しに来るたびに彼女が最初に相手をしているぐらいである。もちろん全て返り討ちにしてるのは言うまでもない。

「アリスさんに言わせるなんて大したもんね彼も」