カルナックの姿が消えた、アデルにはまだ見えている。大木の横をすれ違うと同時に横に一閃を放つ。後ろに回り込んだカルナックは次に右腕の部分、さらに左腕の部分。そしてまた元の位置に戻るために反対側の横を通り過ぎるともう一度一閃を叩きこむ。この時点で大木はまだ倒れていない、ズリズリと刀が走った線に沿ってパーツに分解された部分が崩れ落ちそうになるがそれをこの四つ目が襲う。
「五つ」
すでに人間であればこの時点で少なくとも十個のパーツに分解されている、その時間僅か五秒。炎帝剣聖結界を使わずに撃てるのが此処までと言われている。今度は上下左右、そして斜めにそれぞれ斬撃を飛ばすのがこの五発目だ。そして最後に刀を下から思いっきり切り上げる。間違いなくこの時点で絶命しているだろう、だがその更にもう一つ。これより先はアデルには未知の領域となる。
「炎帝剣聖結界」「炎帝剣聖結界」
アデルとカルナックが同時に発動させた、何故アデルが剣聖結界を発動させたのか。それは五つ目の連撃を視界でとらえるのがギリギリだったからである。それ以降は未知の領域、無意識に自身の身体能力と動体視力を上げる為に発動させていた。そしてアデルは目撃した、カルナックが抜刀した瞬間に同時に見える六つの剣線を。間違いなく残像である、それも質量を伴った。あまりにも早すぎる同時攻撃。円を描くように一点へと集まるその斬撃にアデルは震えた。我が目を疑ってしまった、今まで教えられてきた技はこれを放つ為のいわば準備運動である。五つ目までを使いこなせなければその先にある六つの斬撃を放つことなんて到底不可能。それまではただの連続攻撃であったがこれは違った。アデルの目にははっきりと映し出されている、これは同時多段攻撃であると。
万が一、五発目で仕留めきれなくとも六発目で確実に殺せるだろう。考えても見てほしい、六方向から飛んでくる同時の刃をどう防げようか? また避け様にもそれまでの攻撃で四肢欠損を追っている可能性が高い。避けられる筈がないのだ。まさに必殺、その名にふさわしい攻撃だった。カルナックの一連の動作が終了し納刀後に斬撃音が耳に届く。剣激は音を置き去りにした。
「おやっさん、その技の名前は?」
まだアデルの体が震えている。大木が大きな音を立てて崩れ、低い姿勢を取っていたカルナックがゆっくりと姿勢を戻すと後ろを振り返る。
「六幻です、頑張ってくださいねアデル」
ニッコリと笑顔でそう答えるとアデルに自分の刀を預けてカルナックは何事も無かったかのように家へと戻っていった。
「五つ」
すでに人間であればこの時点で少なくとも十個のパーツに分解されている、その時間僅か五秒。炎帝剣聖結界を使わずに撃てるのが此処までと言われている。今度は上下左右、そして斜めにそれぞれ斬撃を飛ばすのがこの五発目だ。そして最後に刀を下から思いっきり切り上げる。間違いなくこの時点で絶命しているだろう、だがその更にもう一つ。これより先はアデルには未知の領域となる。
「炎帝剣聖結界」「炎帝剣聖結界」
アデルとカルナックが同時に発動させた、何故アデルが剣聖結界を発動させたのか。それは五つ目の連撃を視界でとらえるのがギリギリだったからである。それ以降は未知の領域、無意識に自身の身体能力と動体視力を上げる為に発動させていた。そしてアデルは目撃した、カルナックが抜刀した瞬間に同時に見える六つの剣線を。間違いなく残像である、それも質量を伴った。あまりにも早すぎる同時攻撃。円を描くように一点へと集まるその斬撃にアデルは震えた。我が目を疑ってしまった、今まで教えられてきた技はこれを放つ為のいわば準備運動である。五つ目までを使いこなせなければその先にある六つの斬撃を放つことなんて到底不可能。それまではただの連続攻撃であったがこれは違った。アデルの目にははっきりと映し出されている、これは同時多段攻撃であると。
万が一、五発目で仕留めきれなくとも六発目で確実に殺せるだろう。考えても見てほしい、六方向から飛んでくる同時の刃をどう防げようか? また避け様にもそれまでの攻撃で四肢欠損を追っている可能性が高い。避けられる筈がないのだ。まさに必殺、その名にふさわしい攻撃だった。カルナックの一連の動作が終了し納刀後に斬撃音が耳に届く。剣激は音を置き去りにした。
「おやっさん、その技の名前は?」
まだアデルの体が震えている。大木が大きな音を立てて崩れ、低い姿勢を取っていたカルナックがゆっくりと姿勢を戻すと後ろを振り返る。
「六幻です、頑張ってくださいねアデル」
ニッコリと笑顔でそう答えるとアデルに自分の刀を預けてカルナックは何事も無かったかのように家へと戻っていった。