「さて、イゴールにはこのまま僕の中に残ってもらうとしてだ」

 先程の話し合いからしばらくした後レイが話し始める、イゴールを体の中に残すと決めた後の事を話すようだ。それぞれがゆったりとした状態で話を聞く。

「イゴール、僕はあんたの力をどうすれば使える?」
「通常下であればその子によって制御されていますが、レイ君の呼びかけで私が表に出ることもできる」
「表に出る?」
「先程暴走した時に、体の主導権を私の自我で制御することが可能です、それ以外だと私のエーテルをレイ君に分け与える程度にはなるがどうだろうか?」

 イゴールは両手を組んで話し始める、暴走時に起こった出来事をアデルは思い出しながら「なるほど」とうなずく。あの爆発的な機動力と攻撃力は確かに見方であれば頼もしい。

「ですがキーマンはレイ君以外にも用意しておきましょう、もしもレイ君が気絶していたりまともな判断を下せない状況下の時、その身に危険が及んでいても私は彼を助けることが出来ないかもしれない。その時の為に他の誰かが私を呼び起こす何かが欲しい」
「気絶してる時って、自分の意志で表に出ることはできないのか?」

 アデルがそれを聞いていて首を傾げた、だがイゴールは首を横に振って答える。

「それは難しい、エーテル等を補うことは出来ても今の私には直接表に出るだけの力が残っていないのですよ。先ほどの暴走時に私の八割以上を剝がされてしまいましたから」
「あぁ~……それじゃぁ俺でいいかな? 多分こいつとは離れずにずっといるだろうしな。それに、これは俺達だけの秘密にしておいた方がいい」

 レイがその言葉に疑問を抱く、不思議なことを言うアデルに対して難しい表情をしていた。

「秘密?」