その理由はこの声の主でもある、カルナックが飼いならしている一羽のフクロウの声である。このフクロウはカルナックがその昔まだ旅人として世界を旅して回っていた時代にまで遡る。その希少性から普段生活では見かけることのないこの喋るフクロウ、途轍もないエーテルの持ち主でもあった。このフクロウは客人等が訪れた際に家に防壁を張る役割をいなっている。現在二階で寝ているのはメル、プリムラ、ビュートの三名。喋るフクロウによる特殊な結界によって守られている、その性能はカルナックが展開する障壁にも匹敵する恐るべき性能だった。彼が旅の途中でけがをしているフクロウを助けた処からこの奇妙な関係は続いている。元をただせば魔族がかつて飼っていた種族だというがそれは文献上だけの話、実際のところはどうかわからないでいる。だが、そのエーテル量から考えてみれば不思議と納得するものでもあった。その証拠に西大陸発祥の動物群は持ち合わせているエーテル量が中央大陸や東大陸に生息している動物に比べて遥かに多い。

 もともと魔族が生み出した魔物という仮説も文献では残っているがそれは今となっては分からない。現在の世界で魔族の生き残りは希少でありめったに姿を人前に出さないからだ。それは千年前の炎の厄災にまで遡る話でもある。かつて炎の厄災によって広大な被害を受けた西大陸であるが、その時ほぼ魔族は絶滅したと思われていた、しかし近年になり魔族と思われる者が現在の西大陸を統治する国家にて保護されたという話があった。人数としては十数名、ギルドから伝わってきた話で信憑性は高い。現在の世界において彼等以上に希少な存在は居ない。