カルナックが教えてきたことは主に三つ、法術の使い方、剣術、そして生き残る術の三つ。この中で今回の剣聖結界を除き、剣術に関しては全てを教えてはいなかった。思い出してほしい、以前アデルがギズー奪還の際に使用した刀を。本来アデルは曲刀のグルブエレスと細身のツインシグナルを操る二刀流の剣士、その彼があの時自分がカルナックの者だと気が付かせるために使った刀。カルナック流抜刀術である。その神髄は神速の一太刀、抜刀時の速度を利用した目にも止まらない一閃がカルナック流の抜刀術である。その中でまだアデルに教えていない技はいくつか残っている。この技は彼の弟子の中にも使い手がいる、それがレイヴンである。対峙した時は使用することはなかったが免許皆伝の実力を誇る。

 カルナック流抜刀術の中でも奥義として伝授されるのが先の戦闘で彼が見せた六幻。そこに至るまでに五つの工程があった。初太刀から始まる連続の高速抜刀攻撃、そのすべての工程を含めた奥義こそ六幻である。アデルが教わっているのは初太刀、二の太刀、三の太刀、四の太刀、五の太刀。それ以上先は通常時のカルナックでも難しいと言われる残像を残した六方からの同時多段攻撃。剣聖結界時であれば使用することも難しくないソレだが、体に掛かる負担は大きい。自信を強化する剣聖結界時にだからこそできる技ともいえる。それを通常時に行えるカルナックはやはり剣術の腕でも人のそれとはかけ離れていた。

「全く呑気なもんだな」

 何処からともなく声が聞こえてきた、カルナック達の耳には届いていないその声は家の二階から聞こえてきた。この家で唯一何事も被害が及んでいない二階、それには理由があった。