「さぁアデル君、君も私と一緒に人間を一人残さず根絶やしにしよう。君も見ただろう? これが君達人間の性なのだよ」
無表情のままアデルはその場に立っていた、視線だけを厄災へと向けピクリとも動かないでいる。だがアデルには厄災による束縛は受けているように見えない。
「炎の厄災。いや、イゴール――お前は勘違いをしているよ」
「勘違い? 何を言いますか、君も見たでしょう。人間が我等魔族に対して行った仕打ちを――残虐さを!」
淡々と口を開いたアデルに厄災が叫ぶ、その声には先ほどと同様に怒りと憎悪が混ざっている。だがアデルは眉一つ動かさずに厄災を見つめた。
「確かにテメェの記憶はきちんと見た、人間がお前らにやったことや魔人に対して行った仕打ちは確かに非道だ。それを否定するつもりはねぇ」
一度帽子を深く被りなおす、大きく開いた鍔を右手で顔つかみ切れ目の隙間から左目だけをのぞかせる。
「では何を勘違いしているというのですか、我等魔人だけがあれだけの事を受けたのです。勘違いもなにも――」
「不治の病『黒色塩化結晶症候群』、通称:黒色病」
厄災が叫びながらアデルへと近づくが、その声を遮るように一つの病名をアデルは口にする。それを聞いた厄災は足を止めた。
無表情のままアデルはその場に立っていた、視線だけを厄災へと向けピクリとも動かないでいる。だがアデルには厄災による束縛は受けているように見えない。
「炎の厄災。いや、イゴール――お前は勘違いをしているよ」
「勘違い? 何を言いますか、君も見たでしょう。人間が我等魔族に対して行った仕打ちを――残虐さを!」
淡々と口を開いたアデルに厄災が叫ぶ、その声には先ほどと同様に怒りと憎悪が混ざっている。だがアデルは眉一つ動かさずに厄災を見つめた。
「確かにテメェの記憶はきちんと見た、人間がお前らにやったことや魔人に対して行った仕打ちは確かに非道だ。それを否定するつもりはねぇ」
一度帽子を深く被りなおす、大きく開いた鍔を右手で顔つかみ切れ目の隙間から左目だけをのぞかせる。
「では何を勘違いしているというのですか、我等魔人だけがあれだけの事を受けたのです。勘違いもなにも――」
「不治の病『黒色塩化結晶症候群』、通称:黒色病」
厄災が叫びながらアデルへと近づくが、その声を遮るように一つの病名をアデルは口にする。それを聞いた厄災は足を止めた。