「レイの故郷だ、あいつがおやっさんに引き取られた時の話だよ。帝国が突然襲ってきて辺り一面を焼き払ったっておやっさんから聞いた、その唯一の生き残りがレイだったって」
奥の家から一人の青年が出てきた、その片手には見覚えのある大剣が握られている。一度見れば忘れもしないその巨大な剣、霊剣だった。それにアデルは思わず目を疑った。レイ以外に霊剣を持てる人を初めて見たからだ。その光景に思わず二度見をする。
「嘘だろ――。レイ以外にあの剣を使える人間がいたのか」
するといきなり視界が砂嵐に飲まれる。ザザっと音を立てて景色が切り替わる、次に映し出されたのは村の人々が戦ってる様子だった。相手は直ぐに誰だか理解できた、特徴のあるエルメアを身にまとっていたからだ。
「やっぱり、ケルミナの虐殺か」
二人の周囲では帝国軍が抵抗する村人に対し次々と発砲する、頭を撃ち抜かれた者、巨大な爆発に足を吹き飛ばされる物。倒れて斧を取ろうとする者には剣で首を切り飛ばす。まさに虐殺と呼ぶに値する景色だった。
抵抗する村人の後方に一人の少年が立っている、先ほどの少年だったと二人は直ぐに分かった。村人はこの少年を守ろうと足掻いている。
「お父さん!」
「レイ! 馬鹿来るんじゃない逃げろ!」
巨大な剣を振り回す父親に泣きじゃくりながら近づいていくレイ、だが後ろの方から帝国兵士が槍を持ってレイ目掛けて走ってくるのが見えた、だが父親が助けに入る頃にはすでにレイの体を槍が貫抜いているだろう。
「くたばれ餓鬼!」
レイは後ろを振り返りもの凄い形相で槍を逆手に持ち替えて勢いよく振り下ろしてくる。
「させるかぁ!」
恰幅のいい男がレイと兵士の間に割ってはいる、兵士の槍は男の体を貫き、持っていた斧は兵士の首から上を飛ばす。
「大丈夫だったかい? レイ君……」
「サノックおじさん!」
一つ笑顔を残してサノックと呼ばれた男はその場に倒れた、レイは泣きながらもう動かないその体を揺さぶり男の名前を呼び続ける。
「サノック!」
父親が後ろの方から大声を出しながら駆け寄ってきた、すでに体中傷だらけの体でサノックの体を起こす、だがぐったりとしたその体は再び活動を再開する事無く冷たくなっていくことがわかるようだった。
「サノック……くそっ! 良いかレイ! 今から父さんの言う事をよく聞くんだ、もうじき父さんの友達が此処にやってくる」
すると父親は自分の持っていた大剣をレイに渡すとサノックの左手に握られている斧を持ち再び立ち上がる。
「その剣はお前のだ、もうお前以外には使えない剣だ。その剣と共に生きろ」
「何言ってるかわかんないよ! 僕には分からないよ!」
大声で泣くレイに父親は頭に自分の手を乗せて髪の毛をクシャクシャにする、今まで可愛がってきたこの子供に最後となる笑顔を作って。
「強く生きろ」
そう言って再び前に走り出す、仲間達が戦っている場所へと。
だが父親がレイの所から大分距離を置いた所で地面が爆発した、良く見るとその他の場所でも爆発が起こっている、空から黄色い光が飛んできたと思ったら直ぐその地面は爆発を起こし辺り一面をはぎ払った。
「お父さん!」
自分の父親がいた場所から何かが回転しながらレイの所に飛んでくる、それは父親が握りしめていた斧だった。
「……やだ……嫌だ……嫌だぁぁぁぁ!」
ショックの余り叫ぶ、するとレイが握っている大剣は突然光を放ち辺り一面を包み込む。その光にアデルと炎帝は思わず目を腕で庇う。視界が戻ってくると周囲の状況がぴたりと止まっていた。まるで時が止まったかのように。
奥の家から一人の青年が出てきた、その片手には見覚えのある大剣が握られている。一度見れば忘れもしないその巨大な剣、霊剣だった。それにアデルは思わず目を疑った。レイ以外に霊剣を持てる人を初めて見たからだ。その光景に思わず二度見をする。
「嘘だろ――。レイ以外にあの剣を使える人間がいたのか」
するといきなり視界が砂嵐に飲まれる。ザザっと音を立てて景色が切り替わる、次に映し出されたのは村の人々が戦ってる様子だった。相手は直ぐに誰だか理解できた、特徴のあるエルメアを身にまとっていたからだ。
「やっぱり、ケルミナの虐殺か」
二人の周囲では帝国軍が抵抗する村人に対し次々と発砲する、頭を撃ち抜かれた者、巨大な爆発に足を吹き飛ばされる物。倒れて斧を取ろうとする者には剣で首を切り飛ばす。まさに虐殺と呼ぶに値する景色だった。
抵抗する村人の後方に一人の少年が立っている、先ほどの少年だったと二人は直ぐに分かった。村人はこの少年を守ろうと足掻いている。
「お父さん!」
「レイ! 馬鹿来るんじゃない逃げろ!」
巨大な剣を振り回す父親に泣きじゃくりながら近づいていくレイ、だが後ろの方から帝国兵士が槍を持ってレイ目掛けて走ってくるのが見えた、だが父親が助けに入る頃にはすでにレイの体を槍が貫抜いているだろう。
「くたばれ餓鬼!」
レイは後ろを振り返りもの凄い形相で槍を逆手に持ち替えて勢いよく振り下ろしてくる。
「させるかぁ!」
恰幅のいい男がレイと兵士の間に割ってはいる、兵士の槍は男の体を貫き、持っていた斧は兵士の首から上を飛ばす。
「大丈夫だったかい? レイ君……」
「サノックおじさん!」
一つ笑顔を残してサノックと呼ばれた男はその場に倒れた、レイは泣きながらもう動かないその体を揺さぶり男の名前を呼び続ける。
「サノック!」
父親が後ろの方から大声を出しながら駆け寄ってきた、すでに体中傷だらけの体でサノックの体を起こす、だがぐったりとしたその体は再び活動を再開する事無く冷たくなっていくことがわかるようだった。
「サノック……くそっ! 良いかレイ! 今から父さんの言う事をよく聞くんだ、もうじき父さんの友達が此処にやってくる」
すると父親は自分の持っていた大剣をレイに渡すとサノックの左手に握られている斧を持ち再び立ち上がる。
「その剣はお前のだ、もうお前以外には使えない剣だ。その剣と共に生きろ」
「何言ってるかわかんないよ! 僕には分からないよ!」
大声で泣くレイに父親は頭に自分の手を乗せて髪の毛をクシャクシャにする、今まで可愛がってきたこの子供に最後となる笑顔を作って。
「強く生きろ」
そう言って再び前に走り出す、仲間達が戦っている場所へと。
だが父親がレイの所から大分距離を置いた所で地面が爆発した、良く見るとその他の場所でも爆発が起こっている、空から黄色い光が飛んできたと思ったら直ぐその地面は爆発を起こし辺り一面をはぎ払った。
「お父さん!」
自分の父親がいた場所から何かが回転しながらレイの所に飛んでくる、それは父親が握りしめていた斧だった。
「……やだ……嫌だ……嫌だぁぁぁぁ!」
ショックの余り叫ぶ、するとレイが握っている大剣は突然光を放ち辺り一面を包み込む。その光にアデルと炎帝は思わず目を腕で庇う。視界が戻ってくると周囲の状況がぴたりと止まっていた。まるで時が止まったかのように。