同じように問いかける、しかし今度は何も返事がなかった。風が吹いて枝が揺れてはいるが何のアクションがなかった。だがアデルはしばらくその場で待っていた。先程の木もそうだが現実世界でそんな反応があるはずもなく、まるでおとぎ話の中にいるような気分にさせてくれる。
「なぁ、知らないかな? 青――」
そこまで言うと突然黙った、何やら木の後ろでガサガサと音が聞こえてきたからである。アデルはゆっくりと木の裏側に回ってみた。
「はは、答えてくれてたのか。悪いな気が付かなくて」
そこには木製のドアがあった、ただぽつんとドアだけがそこに置かれていた。木からはそのドアに向かって枝が伸びている。真後ろで反応していてはアデルは気が付かない。だがそれを知らせる手段が見つからなかったのだろう。枝が揺れていたのは多分このことを必死に知らせようとしていたのだとアデルは思った。せかせて悪い気がしたアデルは一言。
「ありがとな」
そうお礼を言うとアデルはまた帽子をとってお辞儀をする。ドアノブに手を掛けてゆっくりと回した、するとドアはゆっくりと開き始める。その中は別の空間につながっていた。一歩足を踏み入れるとそこはまるで戦争でもあったかのような焦土だらけの土地だった。土が焦げるような匂いがアデルの鼻につく。左手で鼻を覆いドアを跨いで次の空間へと入った。
するとドアはゆっくりと薄れていって消えてしまった、それを見てアデルは後戻りができないことを知る。ため息一つついて焼け焦げた世界を歩き始める。
木々が焼け焦げてそこら中に散らばっている、それらから煙が立ち上り視界が悪い。先ほどまでいた空間とは真逆な景色にアデルは驚いていた。先ほどの景色がレイの深層意識であればこの景色はなんだろうか。これが炎の厄災なのだろうかと自問自答する。
「なぁ、知らないかな? 青――」
そこまで言うと突然黙った、何やら木の後ろでガサガサと音が聞こえてきたからである。アデルはゆっくりと木の裏側に回ってみた。
「はは、答えてくれてたのか。悪いな気が付かなくて」
そこには木製のドアがあった、ただぽつんとドアだけがそこに置かれていた。木からはそのドアに向かって枝が伸びている。真後ろで反応していてはアデルは気が付かない。だがそれを知らせる手段が見つからなかったのだろう。枝が揺れていたのは多分このことを必死に知らせようとしていたのだとアデルは思った。せかせて悪い気がしたアデルは一言。
「ありがとな」
そうお礼を言うとアデルはまた帽子をとってお辞儀をする。ドアノブに手を掛けてゆっくりと回した、するとドアはゆっくりと開き始める。その中は別の空間につながっていた。一歩足を踏み入れるとそこはまるで戦争でもあったかのような焦土だらけの土地だった。土が焦げるような匂いがアデルの鼻につく。左手で鼻を覆いドアを跨いで次の空間へと入った。
するとドアはゆっくりと薄れていって消えてしまった、それを見てアデルは後戻りができないことを知る。ため息一つついて焼け焦げた世界を歩き始める。
木々が焼け焦げてそこら中に散らばっている、それらから煙が立ち上り視界が悪い。先ほどまでいた空間とは真逆な景色にアデルは驚いていた。先ほどの景色がレイの深層意識であればこの景色はなんだろうか。これが炎の厄災なのだろうかと自問自答する。