「うわっ!」

 アデルの意識が戻ってきた、エーテルバースをを引き起こしていた体は宙にとどまっていたがアデルが目を覚ましたことで急にベッドへと落ちる。

「ててて……もう、何が何なんだよ」

 右手で腰をさすりゆっくりと起き上がる、先ほどの深層意識での出来事は鮮明に覚えている。かすかにだが体に漂う炎のエレメントを感じ取っていた。
 ベッドから起き上がったアデルの目に真っ先に飛び込んできたのは吹き飛ばされたドア、そして粉々に吹き飛んでいる廊下の一部分だった。

「何だ何だ? 人が寝てる間に何が――レイ?」

 隣のベッドに目をやる、そこには同じく深層意識の中に飛ばされたであろう友人の姿がなかった。アデルは別のところで寝ているのだろうと勝手に解釈して部屋から出る。

「っ!?」

 絶句した、粉々になっていた廊下は一部分だけではなくリビングにまでその破壊は及んでいた。

「本当に何があったんだ?」

 吹き飛ばされた家具をどかしながら部屋の中を捜索する、テーブルはひっくり返り椅子は壊れている。まるで何かに襲われたかのような有様だった。周りを確認しながら歩いていると突如表から巨大な音が聞こえてきた。

「表?」

 アデルは腰に備え付けた鞘から剣を引き抜く、両手に構えゆっくりと玄関のほうへと近づいていく。玄関も木っ端みじんに砕かれていた。恐る恐る外を覗くと見慣れた背中が見えた。

「レイ?」

 その瞬間だった、突如としてレイの足元から魔法陣が浮き上がり彼を一瞬にして氷漬けになった。わが目を疑った、レイの前にいたのはカルナックを初めとした見慣れた顔が並んでいる。

「なんだ……何をして――」