「でも何で俺の深層意識の中で他のエレメントも存在してるんだ? 今爺さんがいるってことは炎のエレメントしかないと思うんだけど」
「馬鹿かお主は、いくら貴様の深層意識の中とはいえ体の外は通常の世界じゃ! 儂が気を使ってエレメントを放出しているだけで他のエレメントもわんさかと居るわい!」

 なるほど、とアデルは驚いた様子もなく頷いた、言われてみれば至極当然の事だった。いくら深層意識の中とはいえ体はバーストを起こしてる状態である。それが意識の中とはいえそのほかのエレメントを極力排除しているこの状態でもそのほかの干渉は受けることになる。

「ん? それってつまり周りに火があれば結構簡単になるんじゃないのか?」
「何もないところに比べれば比較的容易いだろうが、水の中や海じゃ貴様のコントロールでは無理だろうのぉ」

 老人はニヤニヤしながらそう告げる、アデルは舌打ちをして悪態をつく。

「大きなお世話だ爺さん、ついでにもう一つ聞きたいんだけどさ」

 次第に炎のエレメントだけを取り入れる感覚を覚えてきたアデルはゆっくりとその容姿が変わり始める、髪の毛は真っ赤に染まり足元から炎がわずかながら噴き出してきた。

「爺さんに名前ってあるのか?」
「なんじゃ、そんなことも知らんで今までやってきたのか。カルナックは何も教えなかったのか?」
「おやっさんは自分に打ち勝て、それだけしか言わなかったよ」

 カルナックめと老人は小さく呟く、また一つため息をついて語り始める。

「儂達はそれぞれ姿かたちさえ違えど名前がある、他のエレメントにも名があっての」
「へー、それで爺さんはなんていうんだ?」
「儂は炎帝(ヴォルカニック)。他には風の暴風(シルフィード)、雷の雷光(ライジング)、氷の氷雪(ヴォーパル)、土の土竜(ノーム)、そして姿を見なくなって久しいがもう一人いたんじゃがのぉ」