暗い空間に二人の人影が見える。一人は黒いとんがり帽子を被った少年、もう一人は老人だった。少年は体全体にオレンジ色の淡い光を漂わせている、それを老人が見ながら何かを話していた。

「で、この先どうすればいいんだ?」

 少年が問う、体全体に漂う淡いオレンジ色の光を見ながら期待の眼差しで老人を見る。

「一度バーストさせて放出したエーテルを対象のエレメントと同期させ自身の体内へ取り入れる。その時に必要になるのがエーテルコントロールじゃ、だが貴様はそのコントロールが苦手のようじゃな」
「あぁ、自分でいうのもなんだけど得意じゃねぇ」

 老人は大きくため息をついた、左手で顔を覆うと首を横に振る。

「威張って言うな小僧、今は貴様の深層意識の中じゃ。現実とは異なるがコントロールはこっちのほうがやりやすかろうて、何故さっきできてもうできなくなっておるんじゃ!」

 アデルだった、彼は目覚める前に感覚を覚えたいと申し出て今に至る。老人が無理やりバーストさせた最初のインストール後、二度目のインストールを試している。が……今一つパッとしない。

「そうは言ってもよ爺さん、バーストさせる感覚は何となくわかったけど同調ってのが難しいんだ。俺が持ち合わせてるエレメントは炎だって分かるんだけど、どうにも他のエレメントも干渉してくる気がして仕方ないんだよ」
「それはそうじゃ、エレメントは世界のいたるところに存在する物じゃ。炎一つじゃないのは貴様も分かっているだろうに……その中から儂のエレメントだけを取り入れない限りインストールなんぞ夢のまた夢だわ」

 アデルは目を閉じて老人のエレメントを探し始める、周囲に感じるエレメントはオレンジ色の物が多いがその他の物も少なからず存在している。