ガズルとギズーには単純にその隙間からひびが入り破壊できたのだと見えていただろう。実際はかなり異なる。それを正確に見えていたのはシトラだけだった。
 カルナックはこの時、ねじ込んだ刀を一度引き抜くともう一度差し込む。今度はさらに奥へと進んだ。次に刀を横に向け一閃、左半分に亀裂が入り一部が欠ける。同じように上、右、下と四発を目にも止まらないスピードで打ち込むと一度刀を鞘に納める。その次の瞬間だった。まさに神速、時間をゆっくりと再生できるのであればそこにはこう映っていただろう、抜刀した瞬間に六方から剣激を寸分の狂いもなく一か所へと叩きこむ、集まる剣閃を。

「シトラ君! まだですか!?」

 三人の後方で詠唱を続けているシトラ、唱え続けていた詠唱を止めると三人に向かって叫ぶ。

「準備できました、みんな飛んで!」

 その声と同時に三人は地面を同時に蹴った。高く飛び上がるのを確認したシトラは魔法陣を発動させる。
 魔法陣が赤く光るとレイの周辺の気温が一気に下がる、十度、二十度と尋常では考えられないほどの速さで下がる。炎の勢いは弱まりやがて鎮火し始める。

絶対零度(アブソリュート・ゼロ)

 突如としてレイを中心に巨大な氷が出現した、透明で不純物の一切無い氷だ。その上から雪が覆いかぶさりそれも一瞬で凍り付く。半径五メートル、高さ八メーテルの巨大な氷が出現した。

「レイ!」

 ギズーが思いっきり叫んだ、自分が予想していたものとかなり違っていた為レイの安否を心配する。

「大丈夫だよギズー君、殺してはいない。ただ一時的に身動きを拘束し結界で氷漬けにしただけ」

 そこまで言うとシトラは自身のインストールを解いた、スッと元の髪色に戻るとニッコリと笑顔を作る。それに安堵したギズーは着地するなり尻もちをついた。