『この星で、最後の愛を語る。』~The Phantom World War~

雷光剣聖結界(ライジング・インストール)

 カルナックの白銀に輝く髪の毛が黄色に変わる。体全体が静電気を帯びたように青く光る、服と服の間に電流が流れている。

氷雪剣聖結界(ヴォーパル・インストール)

 シトラの黒い髪の毛が水色に染まる、左手に持ち替えていた杖を右手に移すと一瞬のうちに杖が凍りだした。それは形を形成し槍へと姿を変えた。

「先生、勝利条件は?」

 シトラが横目でカルナックを見る、問いかけられた本人はレイから目を離さずに

「無力化、またはその生命活動の停止」

 と短く答えた。

「待ってくれ剣聖、殺すことは――」

 ギズーは聞こえた言葉に耳を疑った、とっさに出した言葉だったが言い終わる前に目の前の二人は瞬間的に跳躍する。目で追うことができないスピードだった、瞬きする瞬間に驚異的な跳躍力でレイへと近づいていた。二人の獲物が彼をとらえようと刃が交差しようとしていた。

「っ!」

 シトラは目を丸くしていた、障壁を突き破りレイの心臓を氷の槍で一突きしようとしていたにも拘らずその刃は障壁によって妨げられている。

「これは困りましたね、並の障壁ではありませんよ」

 カルナックの刀もその障壁に阻まれていた。もちろん二人が手を抜いているわけではない、被害が拡大する前にと全力で彼の生命活動を絶とうとしていたからである。しかし実際は二人が全力で襲い掛かったにもかかわらず障壁はびくともしなかった、ひび割れるという次元ではない。文字通り強固すぎる障壁が二人の攻撃を防いでいた。

「おおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 レイが咆哮する、その声に後ろにいたガズルとギズーは思わず両手で耳をふさいだ。鼓膜が破れるかと思うほどの大声だった。

「忘レヌ……人間メ、贖罪ナリ……神罰ナリ……ニンゲン……ッ!」