一つ分かったことがある。この男、黒い影が覆っているように見えていたがそうではない。焦げている。全身真っ黒に焦げていた。それに気が付いたのは嗅覚に異常が出た時だ。目を凝らして男を見ると今も体全体が燻っているようだ。視界にはっきりと捉えたそれは、顔いっぱいに口が裂けたように広がって笑っていた。そしてレイは確信する。
「炎の厄災『イゴール・バスカヴィル』」
「後の世界ではそう呼ばれているのか、いい響きだ」
「過去の魔族……いや、魔人が僕に何の用だ」
「そう警戒しなくてもいい」
今から千年以上昔に起こった一つの厄災、世界の三分の一を焦土に変えた人類史最悪の大火災。それが炎の厄災である。記録として残っているものは数少なく一部は伝承として語り継がれてきた、西大陸の中央部に位置する当時の国家で異変は起きた。
街外れの犬小屋から突如出火し、巨大な爆発を起こす。その爆風は数千度に到達し衝撃波を伴い西大陸全土を襲った。爆心地から数十キロは爆発により吹き飛び、吹き飛ばされた瓦礫は中央大陸の東部に落下したと伝わる。被害は東大陸の一部でも確認されている。爆発時のきのこ雲は現在のケルヴィン領主が納めている地域でも目撃情報があった。
当時の帝国は異変を調べるべく調査団を西大陸へと派遣した。被害は大陸全土、山は吹き飛ばされ原型を保っていない。現在の西大陸に山がないのはその影響もある。爆心地からほど近い場所は瓦礫一つ残っておらず巨大なクレーターが出来ていた。その中央から突如として巨大な炎が巻き起こる。火柱というにはあまりにも巨大すぎるそれは調査団の一部を瞬間的に溶かした。灼熱、その言葉通りである。岩石は溶け溶岩となる、生き残った調査団からの報告で爆心地で何が起きたのかが判明する。
「炎の厄災『イゴール・バスカヴィル』」
「後の世界ではそう呼ばれているのか、いい響きだ」
「過去の魔族……いや、魔人が僕に何の用だ」
「そう警戒しなくてもいい」
今から千年以上昔に起こった一つの厄災、世界の三分の一を焦土に変えた人類史最悪の大火災。それが炎の厄災である。記録として残っているものは数少なく一部は伝承として語り継がれてきた、西大陸の中央部に位置する当時の国家で異変は起きた。
街外れの犬小屋から突如出火し、巨大な爆発を起こす。その爆風は数千度に到達し衝撃波を伴い西大陸全土を襲った。爆心地から数十キロは爆発により吹き飛び、吹き飛ばされた瓦礫は中央大陸の東部に落下したと伝わる。被害は東大陸の一部でも確認されている。爆発時のきのこ雲は現在のケルヴィン領主が納めている地域でも目撃情報があった。
当時の帝国は異変を調べるべく調査団を西大陸へと派遣した。被害は大陸全土、山は吹き飛ばされ原型を保っていない。現在の西大陸に山がないのはその影響もある。爆心地からほど近い場所は瓦礫一つ残っておらず巨大なクレーターが出来ていた。その中央から突如として巨大な炎が巻き起こる。火柱というにはあまりにも巨大すぎるそれは調査団の一部を瞬間的に溶かした。灼熱、その言葉通りである。岩石は溶け溶岩となる、生き残った調査団からの報告で爆心地で何が起きたのかが判明する。