「この力は何だ……何故これほどの力を引き出せる、炎以上の活性力を持ち合わせた氷のインストールが出来るはずが無い。だが現状をどう説明すればいい」

 家の中からゆっくりとレイが姿を現した、相変わらず意識を失っているように見える。ぐったりと項垂れてはいるものの足はしっかりと体を支えている。ひざが崩れてはいるものの体重は支えているようだ。

(この感覚、以前にもどこかで……)

 カルナックが目の前の暴走したレイから発せられる僅かながらのエレメントを感じ取った、それはとても懐かしく、カルナック自身も一度だけしか感じたことの無いエレメントだった。
 だが考えている暇などカルナックには無かった、それは瞬きをした瞬間にも思えるスピードでレイはカルナックへと跳躍をする。その姿を今度は捉えることが出来なかった。

「剣聖!」

 大きく振りかぶられた霊剣はカルナックの首元を霞めた、ガズルがカルナックの服をとっさに引っ張り後ろへと重心がずれた。ブオンと大きな風きり音が大きく鳴り響いた。

「何をボヤっとしてるんだ剣聖、首が飛ぶところだったぞ!」

 間髪居れずに霊剣がカルナックを襲う、今度はそれを自身の刀で弾き右肩でレイの腹部に体当たりする。とまらぬ早業にガズルとギズーは二人の姿を全く捕らえることが出来ずにいた。

「化け物かこの二人は、一体何をやってるんだ」
「普通じゃないのは剣聖の方だ、インストールしてるレイに対し生身のままだぞ……強い弱いの世界じゃない、次元が違う!」