「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 アデルの体からは薄いオレンジ色のような煙が上がっていた、全身から沸き出るソレはまるで生き物のようにうねりを上げてアデルの体から逃げていく。

「これがエーテルの本質か……具現化させるとこんな煙みたいな物になるのか」
「そうじゃ、それを取り込み体内で爆発させる。それがエーテルバースト、今は無理矢理バーストさせただけでその反動が貴様に来ている」

 四つん這いになり息を切らしているアデルは自分の体から逃げるエーテルを見てにやりと笑う。

「爺さん、こいつを制御出来るようになればいいんだな?」
「そうだ、力でねじ伏せようとするな。対話しろ、己が信念を信じろ、真意を見出せ!」
「簡単に言ってくれるなよ! 自我を保つのが精一杯だって!」

 老人はアデルの中のエーテルを一気に放出させバーストさせる。その衝撃にアデルは倒れ込み体の自由を奪われた。だが辛うじて意識はつながっていた。

「意識があるんじゃ、体の外へ逃げるエーテルを制御しろ、コントロールしろ!」
「そんな事言ったって、どうすればいいんだよ!」
「集中しろ、おぬしの中に居るワシ等と対話するんじゃ。先も言ったが力で抗うな、それを己の体と思え!」

 四つん這いのままどうすることも出来ないでいるアデルは小さく舌打ちし目を閉じた。瞼に燃え盛る炎が見えるような気がした。それを自分の体と重ねる。

(戸惑うな、ここで何も出来ないようじゃこの先俺は成長しない。抗うな、逃げるな、立ち向かうんだ)

 それは、老人の目にはっきりと映る形で変わって行った。四つん這いのまま動かないでいるアデルの体から放出されるエーテルが次第に煙状からゆっくりとユラユラとしたオーラのように変わった行く。