「余は、ずっとそなたを探していた。

どうだ、再び宮廷に仕えぬか?

最高の待遇を約束しよう」


「……再びとおっしゃられましても、私の一族が皇族に仕えていたことなど初めて聞きました。

私は何も知らないのです。

お役に立てることなどありません」


 皇帝陛下の申し出を断るなど、本来あってはいけないことだ。


だが、できることとできないことがある。


朱熹は毅然と辞退した。


「そうか、ならば仕方がない。

そなたは余の暗殺未遂に関わった罪に問われることとなり、そなたの働いていた店で働く従業員諸共死罪となろう」


「そんなっ! なぜです、彼らは関係ないでしょう!」


 朱熹は身を乗り出し、牢獄の鉄柵を掴んだ。


「そなたと懇意にしている者も等しく怪しいと思うのは当然であろう」


 曙光は、美しく整った顔立ちを崩すことなく、淡々と冷酷な宣告をする。