数多の男達から求婚されるような派手さはなくとも、婚姻に差し障るような粗はない。


むしろ、働き者で朗らかな彼女の気風は、見立てを重視する年頃の若い男よりも、ぜひ息子の嫁にと所望する姑世代の女性達から圧倒的な支持を誇る。


 未来は希望で満ちていたはずの彼女の命は、謂れなき罪状によって事切れようとしている。


 人命を救うために、彼女は危険を冒し、そして罪を着せられた。


 だが彼女は、自分のしたことを悔いてはいなかった。


 救った相手が皇帝陛下ですもの、誇ることはあっても恥じることは一切ないわ。


 彼女は、言い逃れも、嘘も、そして真実でさえも口にせず、自らの秘密を内に抱えたまま死を迎える覚悟を決めていた。


 せめて最後、私の作った餡餅(シャーピン)を陛下に召し上がっていただきたかった……。