先生に「考えてみると良い」と言われてから、私はずっとその答えが分からなかった。
知り合いに幸せとは何かを聞いてみたが、いまいちピンとこない。
自分にとっての幸せじゃないといけないんだ。
美味しいご飯を食べても、欲しかったものを買ってもらっても、それは幸せと呼ぶものなのか、私には分からなかった。
などと考えているうちに家に翔太が来た。
「おばさんいますか?」
いつもの聞き慣れたうんざりする声で翔太はうちに訪ねてきた。
母は今、家にいなかったため仕方なく私が出る事にした。
「いないです」
私を見た瞬間、翔太は目を輝かせた。
「杏奈!」
と、言ったのは翔太ではなく翔太の後ろにいたエマだった。
どうしてエマがここにいるのか翔太に尋ねてみた。
「この人が杏奈の家探してたから案内しただけ、俺は母さんのパシリでおばさんにこれ私にきた」
と、野菜がたくさん入った紙袋を差し出してきた。
次に、エマに何故ここにきたかと聞いたら最高の笑顔で、杏奈に会いにきたと言った。
私は二人をとりあえず家にあげ、お茶を出し、翔太から紙袋を受け取った。
「翔太さん?は杏奈の彼氏?」
とエマが翔太に聞いた。
翔太は顔を真っ赤にしながら、お茶を一口飲みエマに照れ臭そうにこう言った。
「今はまだ友達」
何が今は、だ。翔太とは、そんな関係になるつもりは一切ない。だが、エマの純粋な眼差しから、私は否定することができなかった。
「そうだ、杏奈に言いたいことがあったの!シンデレラの話!」
まだ考えていたのだと、私はエマに感心した。決して悪い意味ではない。
「シンデレラのガラスの靴はフェアリーゴットマザーがシンデレラに幸せになって欲しかったから渡したのよ!プレゼントよ」
子供みたいにはしゃぎながらエマはそう言った。
その答えは大城先生に聞いたな。と思いながらも、エマが自分で頑張って導き出した答えなのだから私はまず、それを褒める事にした。
「自分でよく導き出せたね」
そういうと、エマはにっこり微笑んだ。
エマの話の中にも、また幸せが入ってきていた。そこで私はエマ達にもその質問をする事にした。
「そうだ。翔太、エマ二人にとって幸せとはなんだと思う?」
私がそう聞くと、エマと翔太が同時に話した。
お互い譲り合って、結果エマが先に話す事になった。
「知識が増える事!杏奈に本を読んでもらうと知識が増えていく気がするの!」
続いて、翔太が。
「俺は、家族がいることだな」
他の人の幸せを聞けば聞くほど、先生の質問の答えがわからなくなった。
私の幸せってなんだろう。
幸せについて話している時、ドアが開く音と共に「ただいま!」とうちのちびっ子たちが帰ってきた。
きっとうるさくなるだろと思い、私は二人を見送った。
二人が帰った後も、ネットで調べてみた。
「幸福とは心が満ち足りている事。幸せとという」
心が満ち足りると、どうやったら分かるのか?
結局答えのわからないまま時は過ぎた。
いつのまにかテスト期間に入り、私は勉強に追われ、幸せについて考える暇がなかった。
もはや、自分が何を考えていたかさえ忘れかけていた。
忙しすぎる日々の中で、図書室は癒しだった。行けば先生にも会えた。
「ファーストペンギンって知ってるかい?」
お昼を食べ終わった後、私は図書室に行き先生と話していた。
「知りません。ファーストペンギンってなんですか?」
急に出された質問に答えられず私はすぐに聞き返した。
「群れの中で天敵を恐れず最初に海に入った勇敢なペンギンのことだよ」
ペンギンの話を急にしだしたから、私の頭の上には、はてなマークがついていた。
「勇敢な恐れに負けない最初に行動した人も、ファーストペンギンともいうね」
先生は、私の頭のはてなマークが見えたのだろうか。
「牧岡さんは、ファーストペンギンになれるかい?」
突然の質問に驚きながらも、その問いに私は、真剣に答えた。
「最初ってやっぱり怖いです。でも、私は見本になりたいです。ファーストペンギン、なれます」
力強く、真っ直ぐな眼差しで私はそう答えた。
先生は、にかっと笑った。そして小さな声で、「牧岡さんは強い人だ」と言った。
テスト前日、ある先生が誤ってテストの答えを配った。答えを見た生徒は全てカンニングだと訳のわからないこと言いそれに反発した生徒にも理不尽に怒っていた。
そして、強く反発した美咲の成績だけを下げると、もっと訳のわからない事を言い始めクラスは静かに二人の口論を聞いていた。
誰も止めようとせず、先生も呼ばず、ついには美咲に手を出そうとしていた。
私は咄嗟に大声で言った。
「間違えたのは先生ですよね?なんで美咲の成績を下げるんですか。先生頭おかしいですよ!」
と、考えたら普通のことを先生に言った。
通りかかった大城先生が口論を止め、場は収まった。
その日の放課後先生に呼ばれ、図書室にきた。
「ファーストペンギンなれましたね。さすが牧岡さんです」
大城先生にそう言われて私はとても嬉しかった。
だが、今回の場合はただ先生が言葉の通じない、意味わからない人だったから言えたんだ。
先生に心を読まれたのか、
「でも、牧岡さんは強いですよ。自信持ってください」
その言葉でようやく私は自分の行動に自信を持てた。
知り合いに幸せとは何かを聞いてみたが、いまいちピンとこない。
自分にとっての幸せじゃないといけないんだ。
美味しいご飯を食べても、欲しかったものを買ってもらっても、それは幸せと呼ぶものなのか、私には分からなかった。
などと考えているうちに家に翔太が来た。
「おばさんいますか?」
いつもの聞き慣れたうんざりする声で翔太はうちに訪ねてきた。
母は今、家にいなかったため仕方なく私が出る事にした。
「いないです」
私を見た瞬間、翔太は目を輝かせた。
「杏奈!」
と、言ったのは翔太ではなく翔太の後ろにいたエマだった。
どうしてエマがここにいるのか翔太に尋ねてみた。
「この人が杏奈の家探してたから案内しただけ、俺は母さんのパシリでおばさんにこれ私にきた」
と、野菜がたくさん入った紙袋を差し出してきた。
次に、エマに何故ここにきたかと聞いたら最高の笑顔で、杏奈に会いにきたと言った。
私は二人をとりあえず家にあげ、お茶を出し、翔太から紙袋を受け取った。
「翔太さん?は杏奈の彼氏?」
とエマが翔太に聞いた。
翔太は顔を真っ赤にしながら、お茶を一口飲みエマに照れ臭そうにこう言った。
「今はまだ友達」
何が今は、だ。翔太とは、そんな関係になるつもりは一切ない。だが、エマの純粋な眼差しから、私は否定することができなかった。
「そうだ、杏奈に言いたいことがあったの!シンデレラの話!」
まだ考えていたのだと、私はエマに感心した。決して悪い意味ではない。
「シンデレラのガラスの靴はフェアリーゴットマザーがシンデレラに幸せになって欲しかったから渡したのよ!プレゼントよ」
子供みたいにはしゃぎながらエマはそう言った。
その答えは大城先生に聞いたな。と思いながらも、エマが自分で頑張って導き出した答えなのだから私はまず、それを褒める事にした。
「自分でよく導き出せたね」
そういうと、エマはにっこり微笑んだ。
エマの話の中にも、また幸せが入ってきていた。そこで私はエマ達にもその質問をする事にした。
「そうだ。翔太、エマ二人にとって幸せとはなんだと思う?」
私がそう聞くと、エマと翔太が同時に話した。
お互い譲り合って、結果エマが先に話す事になった。
「知識が増える事!杏奈に本を読んでもらうと知識が増えていく気がするの!」
続いて、翔太が。
「俺は、家族がいることだな」
他の人の幸せを聞けば聞くほど、先生の質問の答えがわからなくなった。
私の幸せってなんだろう。
幸せについて話している時、ドアが開く音と共に「ただいま!」とうちのちびっ子たちが帰ってきた。
きっとうるさくなるだろと思い、私は二人を見送った。
二人が帰った後も、ネットで調べてみた。
「幸福とは心が満ち足りている事。幸せとという」
心が満ち足りると、どうやったら分かるのか?
結局答えのわからないまま時は過ぎた。
いつのまにかテスト期間に入り、私は勉強に追われ、幸せについて考える暇がなかった。
もはや、自分が何を考えていたかさえ忘れかけていた。
忙しすぎる日々の中で、図書室は癒しだった。行けば先生にも会えた。
「ファーストペンギンって知ってるかい?」
お昼を食べ終わった後、私は図書室に行き先生と話していた。
「知りません。ファーストペンギンってなんですか?」
急に出された質問に答えられず私はすぐに聞き返した。
「群れの中で天敵を恐れず最初に海に入った勇敢なペンギンのことだよ」
ペンギンの話を急にしだしたから、私の頭の上には、はてなマークがついていた。
「勇敢な恐れに負けない最初に行動した人も、ファーストペンギンともいうね」
先生は、私の頭のはてなマークが見えたのだろうか。
「牧岡さんは、ファーストペンギンになれるかい?」
突然の質問に驚きながらも、その問いに私は、真剣に答えた。
「最初ってやっぱり怖いです。でも、私は見本になりたいです。ファーストペンギン、なれます」
力強く、真っ直ぐな眼差しで私はそう答えた。
先生は、にかっと笑った。そして小さな声で、「牧岡さんは強い人だ」と言った。
テスト前日、ある先生が誤ってテストの答えを配った。答えを見た生徒は全てカンニングだと訳のわからないこと言いそれに反発した生徒にも理不尽に怒っていた。
そして、強く反発した美咲の成績だけを下げると、もっと訳のわからない事を言い始めクラスは静かに二人の口論を聞いていた。
誰も止めようとせず、先生も呼ばず、ついには美咲に手を出そうとしていた。
私は咄嗟に大声で言った。
「間違えたのは先生ですよね?なんで美咲の成績を下げるんですか。先生頭おかしいですよ!」
と、考えたら普通のことを先生に言った。
通りかかった大城先生が口論を止め、場は収まった。
その日の放課後先生に呼ばれ、図書室にきた。
「ファーストペンギンなれましたね。さすが牧岡さんです」
大城先生にそう言われて私はとても嬉しかった。
だが、今回の場合はただ先生が言葉の通じない、意味わからない人だったから言えたんだ。
先生に心を読まれたのか、
「でも、牧岡さんは強いですよ。自信持ってください」
その言葉でようやく私は自分の行動に自信を持てた。