今朝は朝早くに起きれたから、いつもより早くに家を出た。
出発する時間が違うだけで、まるで他の場所に行っているような気分になった。
教室に着くと誰一人いなくて、私は図書室に行くことにした。
誰もいないという優越感の中、試しに廊下を走ってみようと思った。これでも優等生で通っているので廊下を走るなんてした事がなかった。
いざ走ってみると、なかなか楽しいものだった。はしゃぎきって、前も見ていなかった私は何かとぶつかった。
「牧岡さん?大丈夫?」
私はすぐに顔をあげ、先生の存在に気付いた。周りを見ると、先生が持っていたであろうプリントが散乱していた。
「すみません!」
すぐに立ち上がり、私は散乱したプリントを拾い始めた。先生はすぐに「いいよ、いいよ」と優しい声で共にプリントを拾った。
「こんなところで何していたんです?」
私は自分のしていた事に恥じらいを感じ、耳を赤くしてプリントで顔を隠した。
「いろいろあって、」
苦笑いをしながら、先生は最後の一枚のプリントを手に取った。
私は申し訳なさから先生にある提案をした。
「せっかくなので今から一緒に図書室に行きませんか?」
先生は「プリント置いてくるから、先行っててください」と言い、ふわりと笑った。
先生に言われたとおり、さきに図書室に向かった。
朝日が窓から入ってきて、まるで図書室が輝いているかのように見えた。しばらく待っていると、扉の開く音がした。
「牧岡さん、お待たせしました」
扉の方を見ると先生は息を途切れさせながらこちらを向いていた。走ってきたのだろうか。
「すみません、岩尾先生に呼ばれてしまって、」
私を待たさないために走ってきてくれたのだろう。
「大丈夫です」
「読みたい本があってね、取ってきてもいいかい?」
私は頷いた後、自分が読みたい本を取りに行った。しばらくの時間の後、先生がこっちにきた。
「気になる本あった?」
先生は私の顔を覗き込むようにしながら、そう聞いてきた。
「この本が気になったんですけどご存知ですか?」
そう言いながら、私は先生を試すように三大奇書と呼ばれるドグラ・マグラをさした。私の示す方向を見た瞬間、先生は笑った。
「夢野久作だね。もちろん知ってるよ。図書室にこんなのが置いてあるとは」
「知ってましたか。読んだことありますか?」
笑いながら私と目を合わせ、先生は頷いた。
「精神に異常きたしてるんですね」
と、ドグラ・マグラの裏表紙の『これを読むものは一度は精神に異常をきたす』という言葉を使って先生をからかった。
そんな他愛もない話をしているうちにあっという間に時間は過ぎていた。静かな図書室に予鈴は鳴り響く。
「もう、もどろうか」
そう先生が言った。鍵を先生に託し図書室を出て、教室に向かう途中に幼馴染の男子に会った。
「よう。杏奈」
目があった途端、犬のように尻尾を振りこちらに走ってきた。
「また図書室か。友達出来ねぇぞ?」
一野瀬翔太とは生まれる前から親同士が仲が良く家も近かったことから仲良くなった。
「余計なお世話。私は私で楽しんでるから」
そう言った後、翔太は急に近づいてきて私を匂ってきた。
「男の匂いがする」
くんくんと、鼻を鳴らしながら私を匂ってそう言った。
「きもい」
私は翔太を軽く押して教室に戻ろうとした。翔太が後ろから、「神谷が帰ってきたのに」と言ったのが聞こえた。
そういえば、私にもクラスに1人友達がいたような。
教室に戻ると入り口に多くの人が集まっていた。
大きな円を作っていて、その円の中心を見てみたら、神谷紗凪というクラスのリーダーである、私の友達が立っていた。
紗凪は私に気づいた瞬間走ってきた。
「杏奈!心配してたの!私がいない間誰かにいじめられたりしていない?美咲がいたなら大丈夫よね?」
紗凪は一息で全てを話したので、話終わった後大きく息を吸った。
「心配したのは私の方。急にニューヨークなんか行っちゃって。寂しかったんだから」
紗凪は普通の家庭だけど親が転勤族らしく今回はニューヨークに行く事になったそうだった。
大抵、紗凪はついていかないそうだが外国は流石に無理だったそうだ。
「心配してくれていたの?!嬉しい。お土産あるよ」
懐かしい顔で紗凪は微笑んだ。
「やっぱり、心配してなかった」
私は自分が言った事が少し恥ずかしくなって後から否定してしまった。
残念そうに紗凪は綺麗に梱包された可愛い箱を取り出した。
「ネックレス、杏奈に似合うと思って。付けてね」
紗凪はこの無性の優しさで、クラスの中心になることかまできたのだった。
色んな人に好かれて、色んな人を好いて、さなにしかできないことだと勝手に思っている。
紗凪が戻ってきてからクラスは静かになった。もちろん国語の時間も。輪が乱れたのは紗凪がいなくなったからなのだろう。
きっとこれからは、いいクラスに戻ると思う。
「あれ?三上先生は?」
紗凪は元国語の教師の三上先生がいない事に気づいた。クラスの一軍は誤魔化しながら新しく入ってきた大城先生の話をした。
「新しく、大城ってやつが入ってきて良いやつなんだ」
紗凪は私にどんな先生かと尋ねてきた。
「今までで一番好きな先生」
私がそういうと紗凪は早く授業を受けてみたいと、微笑んだ。
出発する時間が違うだけで、まるで他の場所に行っているような気分になった。
教室に着くと誰一人いなくて、私は図書室に行くことにした。
誰もいないという優越感の中、試しに廊下を走ってみようと思った。これでも優等生で通っているので廊下を走るなんてした事がなかった。
いざ走ってみると、なかなか楽しいものだった。はしゃぎきって、前も見ていなかった私は何かとぶつかった。
「牧岡さん?大丈夫?」
私はすぐに顔をあげ、先生の存在に気付いた。周りを見ると、先生が持っていたであろうプリントが散乱していた。
「すみません!」
すぐに立ち上がり、私は散乱したプリントを拾い始めた。先生はすぐに「いいよ、いいよ」と優しい声で共にプリントを拾った。
「こんなところで何していたんです?」
私は自分のしていた事に恥じらいを感じ、耳を赤くしてプリントで顔を隠した。
「いろいろあって、」
苦笑いをしながら、先生は最後の一枚のプリントを手に取った。
私は申し訳なさから先生にある提案をした。
「せっかくなので今から一緒に図書室に行きませんか?」
先生は「プリント置いてくるから、先行っててください」と言い、ふわりと笑った。
先生に言われたとおり、さきに図書室に向かった。
朝日が窓から入ってきて、まるで図書室が輝いているかのように見えた。しばらく待っていると、扉の開く音がした。
「牧岡さん、お待たせしました」
扉の方を見ると先生は息を途切れさせながらこちらを向いていた。走ってきたのだろうか。
「すみません、岩尾先生に呼ばれてしまって、」
私を待たさないために走ってきてくれたのだろう。
「大丈夫です」
「読みたい本があってね、取ってきてもいいかい?」
私は頷いた後、自分が読みたい本を取りに行った。しばらくの時間の後、先生がこっちにきた。
「気になる本あった?」
先生は私の顔を覗き込むようにしながら、そう聞いてきた。
「この本が気になったんですけどご存知ですか?」
そう言いながら、私は先生を試すように三大奇書と呼ばれるドグラ・マグラをさした。私の示す方向を見た瞬間、先生は笑った。
「夢野久作だね。もちろん知ってるよ。図書室にこんなのが置いてあるとは」
「知ってましたか。読んだことありますか?」
笑いながら私と目を合わせ、先生は頷いた。
「精神に異常きたしてるんですね」
と、ドグラ・マグラの裏表紙の『これを読むものは一度は精神に異常をきたす』という言葉を使って先生をからかった。
そんな他愛もない話をしているうちにあっという間に時間は過ぎていた。静かな図書室に予鈴は鳴り響く。
「もう、もどろうか」
そう先生が言った。鍵を先生に託し図書室を出て、教室に向かう途中に幼馴染の男子に会った。
「よう。杏奈」
目があった途端、犬のように尻尾を振りこちらに走ってきた。
「また図書室か。友達出来ねぇぞ?」
一野瀬翔太とは生まれる前から親同士が仲が良く家も近かったことから仲良くなった。
「余計なお世話。私は私で楽しんでるから」
そう言った後、翔太は急に近づいてきて私を匂ってきた。
「男の匂いがする」
くんくんと、鼻を鳴らしながら私を匂ってそう言った。
「きもい」
私は翔太を軽く押して教室に戻ろうとした。翔太が後ろから、「神谷が帰ってきたのに」と言ったのが聞こえた。
そういえば、私にもクラスに1人友達がいたような。
教室に戻ると入り口に多くの人が集まっていた。
大きな円を作っていて、その円の中心を見てみたら、神谷紗凪というクラスのリーダーである、私の友達が立っていた。
紗凪は私に気づいた瞬間走ってきた。
「杏奈!心配してたの!私がいない間誰かにいじめられたりしていない?美咲がいたなら大丈夫よね?」
紗凪は一息で全てを話したので、話終わった後大きく息を吸った。
「心配したのは私の方。急にニューヨークなんか行っちゃって。寂しかったんだから」
紗凪は普通の家庭だけど親が転勤族らしく今回はニューヨークに行く事になったそうだった。
大抵、紗凪はついていかないそうだが外国は流石に無理だったそうだ。
「心配してくれていたの?!嬉しい。お土産あるよ」
懐かしい顔で紗凪は微笑んだ。
「やっぱり、心配してなかった」
私は自分が言った事が少し恥ずかしくなって後から否定してしまった。
残念そうに紗凪は綺麗に梱包された可愛い箱を取り出した。
「ネックレス、杏奈に似合うと思って。付けてね」
紗凪はこの無性の優しさで、クラスの中心になることかまできたのだった。
色んな人に好かれて、色んな人を好いて、さなにしかできないことだと勝手に思っている。
紗凪が戻ってきてからクラスは静かになった。もちろん国語の時間も。輪が乱れたのは紗凪がいなくなったからなのだろう。
きっとこれからは、いいクラスに戻ると思う。
「あれ?三上先生は?」
紗凪は元国語の教師の三上先生がいない事に気づいた。クラスの一軍は誤魔化しながら新しく入ってきた大城先生の話をした。
「新しく、大城ってやつが入ってきて良いやつなんだ」
紗凪は私にどんな先生かと尋ねてきた。
「今までで一番好きな先生」
私がそういうと紗凪は早く授業を受けてみたいと、微笑んだ。