「それに引き換え……今の聖女様は何なんだろうね? 贅沢三昧で、金持ち連中のとばっかりつるんでいるそうじゃないか。どうせ聖女様が祈ってくれても何の効果もないんだから、そんな聖女いらないよ」



 よほど聖女に不満があるのだろう、ロザリーは止まらない。



「そうそう、今の聖女様は、旦那と娘を追い出して、どこの馬の骨ともわからない男を連れ込んで、その男との間に生まれた娘を次の聖女にするって聞いたけど、本当?」



「誰から聞いたの、そんなこと? まさかメアリ……?」



 私は、私たちの私的な事情を、ロザリーのような一般人がほぼ正確に知っていることに驚いた。



 だが、ロザリーは、むしろ私がそういう話を知らないことを驚いているようだった。



「普通にみんな知っているよ。まあ、ネタ元は宮殿に出入りしている業者とか、里帰りした使用人って聞いているけど」



「そう……」



「あたしだって、聖女様がいる方がいいと思うよ。昔からずっといるし。でもね、今の聖女様はお断り。追い出されちゃった娘こは先代の聖女様みたいだったらしいから、その娘こが聖女になってくれればいいのに」



 私は危機感を抱いた。内部の話がここまで漏れているのは、母に反感を持っている人が少なくないということの表れだろう。