私が目を覚ましたのは床の上だった。



(……痛いっ!) 



 ピリッとする痛みを後頭部に感じ、手をやってみる。すると、たんこぶができていた。



 だが、すぐに私は、たんこぶの痛みを忘れてしまうくらいの衝撃的な事実に直面する。



 下半身に違和感を感じ、寝たままの姿勢でおそるおそる下半身を探った。



 そして私は、昨晩、自分の身に何が起こったのか、全て理解した。



 私は、父が迎えに来たときに、どうして一緒にここを出て行かなかったのか、激しく後悔した。



 アベルを私に差し向けたのも、きっと私を陥れるための罠に違いない。



 私がまんまと罠に嵌まったことを、母の耳にはもう入っていることだろう。









 もうすぐ、母が何らかの行動を起こして来るはずだ。今度こそ私は、どんな目にあわされるかわからない。



 どのような目にあわされるにしろ、万が一に備え、私にはやるべきことがあった。









 私は体の痛みを堪えながら、本棚の前に立った。



 私が手にしたのは、薬学の本だ。



(確かこの辺りに作り方が出ていたはず……あ、あったわ)



 そのページを開いたとき、情けなくて涙が出てきた。



 まさか、自分がこの薬を使う日が来るとは――私がこれから作ろうとしているのは、堕胎薬だった。