「キーンコーンカーンコーン」

4時間目が終わるチャイムが鳴った。

今日は特にお腹が空いたので、早く愛実と昼ごはんを食べに行こうと思った。だけど愛実はいつものように寝ている。よしっ起こすか。

「おーい愛実! 起きて! ゾンビが来た!」

「えっゾンビ!? どこどこ?」

「なーんてねっ冗談! 4時間目終わったよ! 早く昼ごはん食べに行こっ」

「冗談やめてよ〜、うん! 行こ行こ!」

私の隣に座っている蓮は、私たちの会話を聞いて笑っていた。

「蓮〜何笑ってるのよ!」

「笑ってねえしっ」

「え〜成瀬くん笑ってたよ〜」

「よしっ麗華! 食べに行こ〜」

「うん!」

私は蓮を誘おうと思ったけど、蓮はロッカーの方に行ってしまい誘えなかった。

私たちはいつも屋上で昼ごはんを食べる。だけど今日は雨だったので図書室で食べることにした。

私は図書室に行く機会があまりなかった。何故なら私は集中力がないので、本を読んでも途中で飽きてしまい、結局最後まで本を読めないからだ。しかも図書室では静かにしないといけないのでそこが少し苦手なのだ。でも昼になると図書室はご飯を食べる場所に使われるので、行くことにした。

今日はここで食べよう。いただきます。

「ねぇねぇ麗華ー」

愛実はニヤニヤしながら私に喋りかけてきたた。私はなんだろうと思い愛実の話を聞いた

「転校生のさ、成瀬くん? 私結構タイプなんだよねー、ちょっと気になってるというか」

私は少しびっくりした。まさか愛実が蓮の事を1日で気になるなんて、私は愛実に桐山の相談を聞いてもらっていたので、私は愛実の恋を応援しようと思った。

「そうなんだ! 私応援するよ!」

「本当!? ありがとう!」

「食べ終わったしそろそろ戻ろっか」

私はそう言って愛実と図書室を出た。

廊下を歩いていくと、桐山と咲ちゃんが楽しそうに喋っていた。桐山は私に気づきもしなかった........。

教室に戻ると蓮は皆と打ち解けていた、私と愛実は自分の席に座った。

「成瀬くん皆の人気者だねー、」

「うん、」

愛実は、少し嫉妬している様子だった。きっと愛実も蓮と話したいのだろう。すると、蓮はこちらに歩いてきて私の隣に座った。

「なあ麗華、どこ行ってたんだよ?」

「えっと、昼ごはんを食べに図書室に行ってましたっ」

「ちょっと〜成瀬くん! 私の事はどうでもいい訳〜?」

「あー?」

「成瀬くん冷たーい」

「冷たくねーし」

「じゃあ明日から俺も着いてくっ」

突然蓮はそんな事を言い出したので、私と愛実はびっくりした。愛実は嬉しそうだ。

「え!? 成瀬くんが?」

「おう、麗華もいるんだろ?」

「え、うん」

「.........」

「愛実? 大丈夫?」

愛実は一瞬暗い顔をしていた。

チャイムが鳴って5時間目が始まり、先生が教室に入ってきた。この時間は社会の授業だ。私は社会が1番嫌いだ。退屈すぎて机に伏せながら目をつぶった。意識が遠くにいって夢の中に辿り着いた。

その夢の中には、蓮と女の子が楽しそうに話している夢だった。あの子は誰だろう。そう考えていると、一瞬にして景色が変わった。辺りが暗くなり、いつしかそこには泣いている蓮が立っていた。あの女の子はどこに行ったんだろうか、蓮はどうして泣いているの?

「おーい麗華、起きろ! 先生が来るぞっ」

誰かが私に何か言っている。少し戸惑ったけど、現実に戻ってきた。

蓮が小さな声で起こしてくれたのだ。

「あっ、ありがとう」

「おう、」

それにしても、あの夢はなんだったんだろう
1番気になるのはあの女の子だ。顔は少ししか見れなかったけど、とても綺麗だった。

「キーンコーンカーンコーン」

5時間目がようやく終わった。クラスの皆は凄く眠そうだ。私も今日はすごく眠い、早く帰って寝ようと思った時、蓮が話しかけてきた。

「麗華すげえ寝てたな」

そんなに寝ていたのだろうか、あまり時間を気にしていなかった。

「え? そんな寝てた?」

すると愛実も会話に入ってくる。

「麗華が授業で寝るなんて珍しいね、」

そうだ、私は授業であまり寝た事がない。今日はたまたま寝てしまった。

「うん、なんか凄く眠くてさ」

「へーえ、なんか意外だな」

蓮は独り言のようにそう言った。以外とはどうゆう意味なのか、私は聞くことにした。

「え、 以外ってどうゆう意味〜?」

「ん?てっきりいつも寝てるかと思った」

「はー?いい加減にしなさいよ?」

「冗談だってー」

私と蓮の会話を聞いていた愛実は笑っていた。

そして6時間目のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。この時間は自習の時間で、皆はノートや教科書を開けて勉強している。私は今日出された宿題をやろうと思い、ワークを机から取り出し、ページを開けた。隣にいる蓮は、数学の計算をしていた。前にいる愛実は、すやすやと眠っていた。先生は教卓の所で目をつぶっているので、愛実が寝ていることに気づかないだろうと思い、愛実を起こさなかった。

「キーンコーンカーンコーン」

ようやく6時間目が終わるチャイムが鳴り、私は愛実を起こした。

「愛実〜起きな! 授業終わったよ!」

「ん〜? まだ眠いよ、」

愛実はいかにも眠たそうな顔で私を見てきた。

「ほんと愛実っていつも寝てるよねー」

「だって、眠いんだもん」

その会話を聞いていた蓮はニヤニヤしながら愛実に喋りかけた。

「吉田めっちゃいびきかいてたぞ」

「えっ、嘘でしょ、」

愛実は顔を赤らめていた。それもそうだ、まさか気になっている人に自分のいびきを聞かれるなんてとても恥ずかしい事だ。だけど愛実はいびきなんてかいていなかった。私は蓮が冗談を言っていると分かった。

「愛実! 大丈夫! いびきなんてかいてなかったよ?」

「えっ? 良かったー」

蓮は意地悪な顔で笑っていた。蓮と初めて会った時も確かこんな顔をしていた。すごく無邪気でいかにも男子っぽい。ふと時計を見ると5時だった。

「さあ、帰ろっか」

「そうだなっ」

「麗華〜今日はサッカー見なくて良いの?」

「うん、もういいや!」

いつもの放課後なら教室の窓から愛実と一緒にサッカーを練習している桐山の姿を見ていたが、桐山にはもう彼女ができてしまったので、もう見る必要が無い。しかも今日は凄く眠いので早く帰ろうと思った。そして階段を下りて校門の方に向かった。

「じゃっ麗華と成瀬くんばいばーい!」

愛実は私たちと帰る方向が違うので丁度校門の所で別れる。

「ばいばい愛実! 気を付けてね!」

「うん! 麗華もねっ成瀬くんもばいばい!」

「おうっじゃあまた明日な」

こうして私たちは家に帰った。