翌朝

「麗華! 早く起きなさーい」

「うぅ、もう朝?」

カーテンを開けると、雨が降っていた。久しぶりの雨だった。空が泣いている。私、昨日振られちゃったんだよね、あの約束 桐山は忘れちゃったの?一生守るって言ってくれたじゃん。どうして........。

時計を見るともう学校に行く時間だったので、急いで家を出た。傘を差して学校に向かう。雨の音が耳に入ってくる、空を見ると暗い色の雲だらけで気分が下がる。今日は蓮がうちの学校に転校してくる日。もっと蓮と話してみたいな........。

校門にに着くと、

「おはよー! 伊藤!」

桐山だ。今日は正直桐山に会いたくなかった。何故なら、昨日の出来事が凄くショックで、いつものように振る舞えないからだ。私は頑張って挨拶を返す。

「.........おはよう!」

「伊藤なんか元気なくね?」

「そうかな?」

私は落ち込んでる事を気づかれないように挨拶したつもりだった、だけど桐山には気づかれてしまったようだ。

「何かあった?」

「何も無いよ、」

「嘘だな! 俺が気づかない訳ないだろ」

「........」

桐山に言っちゃう?昨日の事、どうしよう
聞いた方がいい........よね?よし聞こう、

「昨日桐山、告白されてなかった? 私さあ見ちゃったんだよね」

「はー? 何それ、嘘はやめろよな!」

「え? 嘘じゃないし、だってこの目で見たの、昨日の放課後、体育館裏で........」

「もう! 隠さなくてもいいじゃん! 冗談やめて!」

「........」

桐山、本当に覚えてないの?なんで?私の見間違い?いや、絶対そんな事ない........。だって私は、ずっと桐山を見てきたから。どうやら本当にら覚えていないらしい、そんな事あるの?

「覚えてないの?」

「........多分」

多分って、私たちは話が合わないまま教室に向かう。廊下に1人の女子が立っていた。昨日桐山に告白していた子だ。やっぱり私の見間違いではなかった。

「ほら! 桐山! あの子だよ!」

「え?........あ、思い出したわ」

「おはよう! 桐山くん」

「おはよ! 藤田(ふじた)!」

「えっと、そちらの子は........」

藤田という人は私を見てきた。

「あっ、えっと、伊藤 麗華です。よろしくね!」

「伊藤は俺の中学からの友達だよ」

「そうなんだ! 麗華ちゃん! よろしくね! 私は藤田 咲(ふじた さき)っていいますっ」

彼女の名前は藤田 咲といって、桐山と同じクラスらしい。彼女の雰囲気は優しそうで、笑顔が素敵だった。

桐山は本当に昨日咲ちゃんが告白してくれた事を忘れていたのか?普通そんな事忘れないよ、私は2人の邪魔にならないように自分の教室に入り、自分の席に座った。

「おっはー麗華!」

「おはよ! 愛実!」

「麗華目腫れてない?」

「え、ほんと?」

「なんかあったら相談乗るよ?」

「ありがとう。........昨日さ、桐山が他の女子に告白されてて、」

「まじで? そんで麗華は振られたと、」

「う、ん」

「元気出しな! 今日は私の弁当から好きなのあげるから」

「やったー! ありがとう!」

愛実のお弁当は自分で作っているらしい。以前食べさしてくれた事があるが、凄く美味しかった事を覚えている。

「あっ聞いて麗華! 今日うちのクラスに新しい転校生が来るんだって! 女子かな、男子かな、どんな人だろ!?」

クラスの皆もその話で盛り上がっていた。私は昨日偶然その人に会ってしまったので、どんな人か知っている。だけど愛美は楽しみにしていたので、蓮と会った事は言わないでおこうと思った。

「うーんどんな人だろうね!?」

「男子だったらイケメンがいいなあ」

「もーう愛美ったらっ」


チャイムが鳴り先生は蓮と一緒に教室に入ってきた。

「はーい、皆さん今日からこの学校に転校してくる事になった成瀬 蓮くんです。さあ、成瀬くん自己紹介お願いね」

「えっと、親の都合でこの学校に転校する事になった成瀬 連です。よろしくお願いします」

「はい!よろしくね。皆さんも仲良くしてくださいねー」

「成瀬くんの席なんだけど、あの窓側の席で大丈夫かな?」

「えーと、あの人の隣の席って空いてますよね?俺あそこが良いです。」

蓮が言っているあの人とは私の事だろうか。私の隣の席は丁度空いていた。え、私の隣!?まるで少女漫画のような展開だ........私は蓮と目が合った。

「あっ、あの席がいいのね、分かりました。じゃあ席に着いてください」

「はーい。ありがとうございます」

蓮は私の隣に座った。そして私の顔を見てきた。

「良かったー麗華の隣の席になれてっ」

蓮はストレートに言ってきた。

「うん。私も」

こんな会話をしていると前から愛美が話しかけてきた。

「ねぇねぇ麗華、もしかして成瀬くんと知り合いなの!?」

「うん、昨日たまたま学校で会ったんだよね」

「もーう! そういう事なら早く言ってよ〜」

「ごめんごめんっ」

愛実は蓮に話しかけた。

「成瀬くんよろしくね! 私の名前は吉田 愛実!」

「おう! よろしくな」

こうして私たちは友達同士になった。これから楽しくなりそうだ。