耳を傾けると鳥の鳴き声や、風の音が良く聞こえる。

都内にいたら聞こえなかった音達だ。

私は日の当たる縁側で1人空を眺めていた。

雲は私のことを何も知らない。

でもずっと変わらない空は私の事を知っている。

どうせならいっそ、雲だけと友達になりたいな。

そう思っていると後ろから声をかけられて私は振り向いた。

私のおばあちゃんが手招きして玄関へ呼ぶ。

どうやら客人が来たみたいだ。

縁側から立ち上がって玄関へと向かう。

玄関にはお土産の袋をもった貴方が立っていた。



「来てくれて…ありがとう」



久しぶり会った貴方のおかげで、私は一瞬だけ笑顔を作れる。

その顔を見て安心したように貴方は笑ってくれた。

お土産を手渡すと私の頭を撫でて来る。

照れ臭かったけど、私は大人しく撫でられていた。



「上がって」



そう言って招けば頷いて家に上がってくれる。

丁寧に靴を揃えるところは性格通りだなと思った。

私は居間に貴方を連れて行くとおばあちゃんがお茶の準備をしてくれていた。

おじいちゃんは現在、隣のお家に行って世間話をしている。

きっと私の客人が来るのを知っていたから席を外してくれたのだろう。

居間にある座布団に貴方を座らせる。

すると貴方はすぐ側にある仏壇に気付いたようで立ち上がった。



「うん、これは私のお母さん」



静かに笑う遺影と私を見比べるように貴方は交互に見る。  



『似てるね』



そう言ってくれた貴方は線香を上げてくれると仏壇に手を合わせてくれた。

私は貴方の服の裾を軽く引っ張る。

驚いたようにこっちを向いた貴方に私はもう一度、



「本当に来てくれてありがとう」



そう言った。