私はこの1週間、家から一歩も出なかった。
数日経てばお盆の時期に入る。
余計に家から出ないだろう。
才田さんの連絡も最低限で済ませるから会話相手も居ない。
あの海の日から涼とも会ってないし、メッセージも送ってなかった。
絵の件も解決しないまま時がすぎている。
ご飯を食べて、課題をやって、昼寝してご飯を食べる生活だから少し太ったかもしれない。
そう頭では思っても何かしようとは思えなかった。
しかし突然のインターホンで私の体は起き上がる。
無理矢理に近い動かし方は寝ていた私の頭をクラクラさせた。
「はーい」
階段を降りながら声を出して、自分がいることをアピールする。
インターホンは1回鳴ると止まったのできっと私がいる事を認識したはずだ。
玄関の鍵は閉まっているのでガチャリと音を立てながら開ける。
玄関先には2人の男がいた。
「涼……とお父さん」
どんな組み合わせだと尋ねたくなる。
手前に涼がいて後ろからお父さんが歩いてきた。
私が「お父さん」と呼ぶと涼は驚いたように振り向く。
この様子だとたまたま時間が被っただけのようだ。
「君は…」
「は、はじめまして!桜の友達の和賀那涼です」
「こんにちは。桜の父です」
「えっと、まず涼どうしたの?」
「これ…」
涼の右手にぶら下げているのは私が海で置いてきてしまった画材だった。
そして左手には丁寧に巻かれた画用紙を持っている。
「ごめん。ありがとう」
「明日から俺、母さんの実家に帰省するからしばらく会えなくて。渡せるのは今日しか無かった。急に押しかけてごめんな」
「ううん。助かった」
「どうしたんだこれは」
「私が友達と遊んだ時に忘れちゃったの。だから涼が持ってきてくれただけ」
「そうか」
私は咄嗟に軽い嘘をつく。
本当は涼と2人で海に行って忘れたのだ。
でもそれをお父さんに言ったら後で何を聞かれるかわからない。
今の答えは正当な判断だったと自分を褒めた。
するとお父さんは私と玄関の扉の隙間を潜るように家の中に入る。
「和賀那くん。暑い中ありがとう。良ければお茶でも飲んでいかないか?」
「えっ、でも」
「涼少し汗かいているし、水分摂ったほうがいいよ。入って」
ここで不審な行動でもしたらそれこそ疑われる。
私はお父さんに賛成して扉を大きく開けた。
涼は最後まで迷って家の中に入る。
私が扉を閉めると小さな声で「お邪魔します」と言った。
「桜、飲み物はあるだろう?」
「うん。お茶もジュースもある」
「私は着替えてから行く。準備は頼む」
「わかった」
お父さんはスーツの上着だけを脱いでワイシャツ姿になるとネクタイを緩める。
そして2階にある自分の部屋へと向かった。
「リビングこっち」
「ああ、サンキュー」
お父さんが行った事を確認すると、私は涼を連れてリビングに入った。
数日経てばお盆の時期に入る。
余計に家から出ないだろう。
才田さんの連絡も最低限で済ませるから会話相手も居ない。
あの海の日から涼とも会ってないし、メッセージも送ってなかった。
絵の件も解決しないまま時がすぎている。
ご飯を食べて、課題をやって、昼寝してご飯を食べる生活だから少し太ったかもしれない。
そう頭では思っても何かしようとは思えなかった。
しかし突然のインターホンで私の体は起き上がる。
無理矢理に近い動かし方は寝ていた私の頭をクラクラさせた。
「はーい」
階段を降りながら声を出して、自分がいることをアピールする。
インターホンは1回鳴ると止まったのできっと私がいる事を認識したはずだ。
玄関の鍵は閉まっているのでガチャリと音を立てながら開ける。
玄関先には2人の男がいた。
「涼……とお父さん」
どんな組み合わせだと尋ねたくなる。
手前に涼がいて後ろからお父さんが歩いてきた。
私が「お父さん」と呼ぶと涼は驚いたように振り向く。
この様子だとたまたま時間が被っただけのようだ。
「君は…」
「は、はじめまして!桜の友達の和賀那涼です」
「こんにちは。桜の父です」
「えっと、まず涼どうしたの?」
「これ…」
涼の右手にぶら下げているのは私が海で置いてきてしまった画材だった。
そして左手には丁寧に巻かれた画用紙を持っている。
「ごめん。ありがとう」
「明日から俺、母さんの実家に帰省するからしばらく会えなくて。渡せるのは今日しか無かった。急に押しかけてごめんな」
「ううん。助かった」
「どうしたんだこれは」
「私が友達と遊んだ時に忘れちゃったの。だから涼が持ってきてくれただけ」
「そうか」
私は咄嗟に軽い嘘をつく。
本当は涼と2人で海に行って忘れたのだ。
でもそれをお父さんに言ったら後で何を聞かれるかわからない。
今の答えは正当な判断だったと自分を褒めた。
するとお父さんは私と玄関の扉の隙間を潜るように家の中に入る。
「和賀那くん。暑い中ありがとう。良ければお茶でも飲んでいかないか?」
「えっ、でも」
「涼少し汗かいているし、水分摂ったほうがいいよ。入って」
ここで不審な行動でもしたらそれこそ疑われる。
私はお父さんに賛成して扉を大きく開けた。
涼は最後まで迷って家の中に入る。
私が扉を閉めると小さな声で「お邪魔します」と言った。
「桜、飲み物はあるだろう?」
「うん。お茶もジュースもある」
「私は着替えてから行く。準備は頼む」
「わかった」
お父さんはスーツの上着だけを脱いでワイシャツ姿になるとネクタイを緩める。
そして2階にある自分の部屋へと向かった。
「リビングこっち」
「ああ、サンキュー」
お父さんが行った事を確認すると、私は涼を連れてリビングに入った。