涼は柔らかい表情でそう言う。
意図がちゃんとわからない。
私はやっと動けるようになった口で小さな声で涼に尋ねた。
「それってどういう意味で…」
小さくても届いた私の言葉に涼は真剣な顔付きになる。
この状況、その表情。
やっと今、先を予想出来た。
「好きだよ。中学の時から」
声は優しいのに、目つきは力強い。
私は涼から目が離せなかった。
涼ってこんなに大人っぽいっけ?
それとも私が子供なだけ?
頭では何とも思ってません感を出しているけど、顔には熱が集まってどうにかなりそうだった。
「桜…」
涼が私の名前を言った瞬間、海風によって熱が冷える。
それと同時に描いていた海の絵が少し先に飛ばされた。
「あっ!」
私はシートから立ち上がり絵を追いかける。
ちょうど堤防の壁に止められたので見失う事なく、絵を見つけられた。
破かないよう丁寧に持ち上げて砂を払う。
特に汚れることも無く、ただ飛ばされただけで終わってくれた。
私はホッとして胸を撫で下ろす。
けれども話の途中だということを思い出すと私は涼の所まで駆け寄った。
「ご、ごめん」
「平気。少し重しでもしとけば?」
「うん…」
絵の具を2個取って画用紙の上に置いてまた涼の顔を見る。
大事な話をしているのに逃げるように離れてしまった私の行動に怒ることなく穏やかな表情をしていた。
私は少し俯いて涼の顔から目を逸らす。
それでも涼の視線を感じるので私をずっと見てくれているのだろう。
どうしたら良いのかわからない。
告白されるなんて初めての事だ。そして相手は涼。
何を言えばいい?黙ることしか選択肢が無かった。
「なんか吹っ切れたわ」
「え…?」
「1回言えばもう何回でも言える。俺は桜が好き」
爽やかな笑顔で笑って言う涼。
その笑顔はからかいや、悪巧みのような小学生の笑いではない。
ちゃんと本気で思っている大人の笑顔だと私はわかってしまった。
余計にどう行動を取ればいいのか迷う。
私は軽く唇を噛んだ。
「本当は急かすのは良くないってわかるけど…。桜はどう思ってる?俺のこと」
良い人だよ。
うるさい時もあるけど、その時は必ず私は笑っている。
数少ない私の本音を言えて何も気にしないで軽口叩ける相手だよ。
そう思っていた。いや、今もそう思っている。
でも何でだろう。
頭の中の霧が私の思考を鈍らせる。
本音はどう思っているのか見つからない。
さっきまでならきっと涼に本音を言えていたのに。
私は俯いていた顔を上げた。
涼の真っ直ぐな目が私の視線とぶつかる。
私は震え声で涼に答えた。
「ごめん…」
「…」
「私、帰る」
「えっ?さ、桜?」
急いで立ち上がりバックを持って砂浜を駆け抜ける。
途中で足がもつれそうになるけどとりあえず動かした。
砂がかかった階段を登って道路へ行くと、来た道を引き返すように走った。
運動なんてしないから息が上がるけど、私は逃げたかった。
後ろから涼が追ってくる気配はない。
それでも走った。
私の目には涙が浮かんでいて風と共に流れていく。
そして頭の中ではある人の顔が浮かんでいた。
その人が、私の考えを邪魔したのだ。
今どこを走っているかわからない。
今の時間、電車だって来るかも知らない。
けれど私は全てを振り払いたくて走った。
意図がちゃんとわからない。
私はやっと動けるようになった口で小さな声で涼に尋ねた。
「それってどういう意味で…」
小さくても届いた私の言葉に涼は真剣な顔付きになる。
この状況、その表情。
やっと今、先を予想出来た。
「好きだよ。中学の時から」
声は優しいのに、目つきは力強い。
私は涼から目が離せなかった。
涼ってこんなに大人っぽいっけ?
それとも私が子供なだけ?
頭では何とも思ってません感を出しているけど、顔には熱が集まってどうにかなりそうだった。
「桜…」
涼が私の名前を言った瞬間、海風によって熱が冷える。
それと同時に描いていた海の絵が少し先に飛ばされた。
「あっ!」
私はシートから立ち上がり絵を追いかける。
ちょうど堤防の壁に止められたので見失う事なく、絵を見つけられた。
破かないよう丁寧に持ち上げて砂を払う。
特に汚れることも無く、ただ飛ばされただけで終わってくれた。
私はホッとして胸を撫で下ろす。
けれども話の途中だということを思い出すと私は涼の所まで駆け寄った。
「ご、ごめん」
「平気。少し重しでもしとけば?」
「うん…」
絵の具を2個取って画用紙の上に置いてまた涼の顔を見る。
大事な話をしているのに逃げるように離れてしまった私の行動に怒ることなく穏やかな表情をしていた。
私は少し俯いて涼の顔から目を逸らす。
それでも涼の視線を感じるので私をずっと見てくれているのだろう。
どうしたら良いのかわからない。
告白されるなんて初めての事だ。そして相手は涼。
何を言えばいい?黙ることしか選択肢が無かった。
「なんか吹っ切れたわ」
「え…?」
「1回言えばもう何回でも言える。俺は桜が好き」
爽やかな笑顔で笑って言う涼。
その笑顔はからかいや、悪巧みのような小学生の笑いではない。
ちゃんと本気で思っている大人の笑顔だと私はわかってしまった。
余計にどう行動を取ればいいのか迷う。
私は軽く唇を噛んだ。
「本当は急かすのは良くないってわかるけど…。桜はどう思ってる?俺のこと」
良い人だよ。
うるさい時もあるけど、その時は必ず私は笑っている。
数少ない私の本音を言えて何も気にしないで軽口叩ける相手だよ。
そう思っていた。いや、今もそう思っている。
でも何でだろう。
頭の中の霧が私の思考を鈍らせる。
本音はどう思っているのか見つからない。
さっきまでならきっと涼に本音を言えていたのに。
私は俯いていた顔を上げた。
涼の真っ直ぐな目が私の視線とぶつかる。
私は震え声で涼に答えた。
「ごめん…」
「…」
「私、帰る」
「えっ?さ、桜?」
急いで立ち上がりバックを持って砂浜を駆け抜ける。
途中で足がもつれそうになるけどとりあえず動かした。
砂がかかった階段を登って道路へ行くと、来た道を引き返すように走った。
運動なんてしないから息が上がるけど、私は逃げたかった。
後ろから涼が追ってくる気配はない。
それでも走った。
私の目には涙が浮かんでいて風と共に流れていく。
そして頭の中ではある人の顔が浮かんでいた。
その人が、私の考えを邪魔したのだ。
今どこを走っているかわからない。
今の時間、電車だって来るかも知らない。
けれど私は全てを振り払いたくて走った。