お父さんを見送った才田さんは私の側に来て、耳打ちする。
「カフェ好き?」
「えっ、はい」
「なら今から行ってもいい?」
「だ、大丈夫です」
いきなり違う声のトーンと口調で私は戸惑うが、耳から離れたらまたお堅い感じに戻った。
「桜様、こちらです」
才田さんは私を連れて研究室から出る。
途中に他の白衣の人達に挨拶されてペコペコとしながら着いて行った。
一緒にエレベーターに乗りロビーに戻る。
「それではここでお待ちください」
私をロビーのソファに座らせると才田さんは軽くお辞儀をしてまたエレベーターに乗って行った。
私は少しだけ緊張の糸が解れて肩から力が抜ける。
明日あたりは筋肉痛になりそうだ。
自分で肩を揉んだり、回したりしているとまたエレベーターがロビーに到着する。
白衣を着ていない才田さんが降りて来た。
スーツ姿は変わらないけど、白衣を脱いだことによってスタイルの良さが際立つ。
「お待たせしました。行きましょう?」
私は立って才田さんに着いて行くと、また受付のお姉さん方が私達に挨拶をした。
若干目がハートに見えたのは気のせいだろうか。
それに私が入って来た時よりも声のトーンが高い気がする。
きっと才田さん効果かもしれない。
確かに同性異性問わずモテそうだなと思った。
建物から出ると才田さんはスーツのジャケットを脱ぐ。
するとまた柔らかい口調で話し始めた。
「暑いね〜」
「そ、そうですね」
「ふふっ、ごめんね。戸惑っているよね?仕事の時は先輩方が周りにいるからあんな感じなんだけど、普段は結構緩いんだ」
「なるほど…」
「ねぇ、仕事以外の時は桜ちゃんって呼んで良い?」
「はい、大丈夫です!」
「ありがとう。なんだか妹が出来たみたいで嬉しいよ」
上はワイシャツ、下はズボンスタイルの才田さんは嬉しそうに私の頭を撫でた。
1人っ子の私にとってはそう言って貰えるのは照れてしまう。
才田さんは「こっちだよ」と言ってカフェまで案内してくれた。
ーーーーーー
「本当は研究室以外で仕事の話をするのは嫌なんだけどね…。これからの日程を決めておきたくて」
「私が会話する時のですか?」
「そうそう」
仕事場の近くにあるカフェはお昼時で賑わっていた。
幸い席は空いていたので私と才田さんは向かい合って座る。
今回は才田さんが奢ってくれると言うので私はメロンソーダとお昼のサンドイッチを頼んだ。
才田さんはアイスコーヒーと私と同じサンドイッチ。
よく考えれば昨日から人に奢ってもらいっぱなしだ。
申し訳ない気持ちになりながらも私は甘えてしまう。
店員さんに注文をすると、才田さんは手帳とボールペンを取り出して私に見せた。
「夏休みはいつまでだっけ?」
「8月は休みです。9月1日から始まります」
「OK。今のところどれくらいの頻度で来れるかな?」
「特にこれと言っては…」
「じゃあ毎日でも?」
「急な予定が入らなければ…」
「嘘嘘。流石に毎日は無いから安心して。3日に1回とか2日に1回の頻度かなって私は思ってる」
「それなら大丈夫です」
「この日はダメって時はある?」
「あっ、友達と会う計画は立ててるんですけど、日にちはまだ決まってないので…」
「なるほどね。それじゃあスマホ出して。私の連絡先入れておくから、何か急な予定があったらそこに連絡して」
「わかりました」
スムーズに話を進める才田さん。
ドリンクでさえまだ届いてないのにもう予定が決まってしまった。
私は才田さんがメモした手帳を見ながらスマホのカレンダーアプリに行く日を記録する。
少なくとも週に2回は行くようになるらしい。
多い時は3、4回の時もある。
「もし行きたくなかったらその時は断っていいからね。私に連絡してくれれば大丈夫」
「ありがとうございます」
優しいなと思いながら私はカレンダーアプリを見た。
お父さんの手伝いとはいえ今年の夏休みは忙しくなりそうだ。
部活がそこまでないから良いけど、きっと運動部だったらもっと辛い思いをしていただろう。
美術部で良かったと心の底から思った。
「メモできました。手帳ありがとうございます」
「いいえ。連絡先も登録した?」
「はい。バッチリです」
「社長の前ではプロジェクト関係しか話すなみたいなこと言っちゃったけど、気軽に連絡して来ていいからね。必要な時は課題とか手伝ってあげる」
才田さんが笑って言うとドリンクとサンドイッチが同時に到着した。
とても美味しそうな香りと見た目だ。
昨日のクレープもそうだけど、お洒落感満載の料理。
私は目をキラキラとさせてしまう。
「ふふっ」
「えっ?」
「ううん。可愛いなって」
そう言ってアイスコーヒーを飲む才田さんは私と違う大人感が満載だった…。
「カフェ好き?」
「えっ、はい」
「なら今から行ってもいい?」
「だ、大丈夫です」
いきなり違う声のトーンと口調で私は戸惑うが、耳から離れたらまたお堅い感じに戻った。
「桜様、こちらです」
才田さんは私を連れて研究室から出る。
途中に他の白衣の人達に挨拶されてペコペコとしながら着いて行った。
一緒にエレベーターに乗りロビーに戻る。
「それではここでお待ちください」
私をロビーのソファに座らせると才田さんは軽くお辞儀をしてまたエレベーターに乗って行った。
私は少しだけ緊張の糸が解れて肩から力が抜ける。
明日あたりは筋肉痛になりそうだ。
自分で肩を揉んだり、回したりしているとまたエレベーターがロビーに到着する。
白衣を着ていない才田さんが降りて来た。
スーツ姿は変わらないけど、白衣を脱いだことによってスタイルの良さが際立つ。
「お待たせしました。行きましょう?」
私は立って才田さんに着いて行くと、また受付のお姉さん方が私達に挨拶をした。
若干目がハートに見えたのは気のせいだろうか。
それに私が入って来た時よりも声のトーンが高い気がする。
きっと才田さん効果かもしれない。
確かに同性異性問わずモテそうだなと思った。
建物から出ると才田さんはスーツのジャケットを脱ぐ。
するとまた柔らかい口調で話し始めた。
「暑いね〜」
「そ、そうですね」
「ふふっ、ごめんね。戸惑っているよね?仕事の時は先輩方が周りにいるからあんな感じなんだけど、普段は結構緩いんだ」
「なるほど…」
「ねぇ、仕事以外の時は桜ちゃんって呼んで良い?」
「はい、大丈夫です!」
「ありがとう。なんだか妹が出来たみたいで嬉しいよ」
上はワイシャツ、下はズボンスタイルの才田さんは嬉しそうに私の頭を撫でた。
1人っ子の私にとってはそう言って貰えるのは照れてしまう。
才田さんは「こっちだよ」と言ってカフェまで案内してくれた。
ーーーーーー
「本当は研究室以外で仕事の話をするのは嫌なんだけどね…。これからの日程を決めておきたくて」
「私が会話する時のですか?」
「そうそう」
仕事場の近くにあるカフェはお昼時で賑わっていた。
幸い席は空いていたので私と才田さんは向かい合って座る。
今回は才田さんが奢ってくれると言うので私はメロンソーダとお昼のサンドイッチを頼んだ。
才田さんはアイスコーヒーと私と同じサンドイッチ。
よく考えれば昨日から人に奢ってもらいっぱなしだ。
申し訳ない気持ちになりながらも私は甘えてしまう。
店員さんに注文をすると、才田さんは手帳とボールペンを取り出して私に見せた。
「夏休みはいつまでだっけ?」
「8月は休みです。9月1日から始まります」
「OK。今のところどれくらいの頻度で来れるかな?」
「特にこれと言っては…」
「じゃあ毎日でも?」
「急な予定が入らなければ…」
「嘘嘘。流石に毎日は無いから安心して。3日に1回とか2日に1回の頻度かなって私は思ってる」
「それなら大丈夫です」
「この日はダメって時はある?」
「あっ、友達と会う計画は立ててるんですけど、日にちはまだ決まってないので…」
「なるほどね。それじゃあスマホ出して。私の連絡先入れておくから、何か急な予定があったらそこに連絡して」
「わかりました」
スムーズに話を進める才田さん。
ドリンクでさえまだ届いてないのにもう予定が決まってしまった。
私は才田さんがメモした手帳を見ながらスマホのカレンダーアプリに行く日を記録する。
少なくとも週に2回は行くようになるらしい。
多い時は3、4回の時もある。
「もし行きたくなかったらその時は断っていいからね。私に連絡してくれれば大丈夫」
「ありがとうございます」
優しいなと思いながら私はカレンダーアプリを見た。
お父さんの手伝いとはいえ今年の夏休みは忙しくなりそうだ。
部活がそこまでないから良いけど、きっと運動部だったらもっと辛い思いをしていただろう。
美術部で良かったと心の底から思った。
「メモできました。手帳ありがとうございます」
「いいえ。連絡先も登録した?」
「はい。バッチリです」
「社長の前ではプロジェクト関係しか話すなみたいなこと言っちゃったけど、気軽に連絡して来ていいからね。必要な時は課題とか手伝ってあげる」
才田さんが笑って言うとドリンクとサンドイッチが同時に到着した。
とても美味しそうな香りと見た目だ。
昨日のクレープもそうだけど、お洒落感満載の料理。
私は目をキラキラとさせてしまう。
「ふふっ」
「えっ?」
「ううん。可愛いなって」
そう言ってアイスコーヒーを飲む才田さんは私と違う大人感が満載だった…。