幸か不幸か水族館の日からしばらくしてテスト週間が始まったので、自然な流れで生物室は向かう足が遠のいた。
テスト期間中は部活もないはずなので、きっと浅野も生物室には頻繁に顔を出してはいないはず。
勢い余った告白と、浅野からの拒絶。
その2つはわたしの中をぐるぐると巡り、浅野と合わせる顔も見つからない。
......なんで、あんなこと言っちゃったんだろ。
参考書をめくりながら、何度目かわからない大きなため息をついた。
勢いだった。つい、口をついてしまった。
でも本当は出会った日からずっと、浅野のことを知りたいって思ってた。
知れば知るほど、もっと近くなりたいって、ずっと。
それが恋だと気付いたのはいつだったのか。
そこは明確にはわからないけれど、でも浅野に対する感情を言葉で表そうとしたら、それは「恋」でしかない。
だからこそ、浅野に言われた言葉は、わたしを深く傷つけた。
「世界が違うって......なんなのよ、意味わかんない」
もう一度大きなため息をつき、全く頭に入らない参考書をパタンと閉じる。
......近くなれたと思ってた。でもそれは、わたしの思い上がりだったのか。
浅野みたいに何かに夢中になれる才能もない。ただ毎日を淡々と過ごしているわたしは、浅野にとっては何の魅力もないのかもしれない。
考えれば考える程マイナスな思考回路にしかならず、わたしは無理矢理考えをシャットダウンするかの様にベッドにダイブした。
目を固く瞑り、思考を止める。
何も、考えたくなかった。